ハチミツ的な何か ?ブーン系小説短編まとめ?

ブーン系小説短編まとめサイトですお( ^ω^)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

( ・∀・)観察者のようですζ(゚ー゚*ζ 【後編】


90 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:01:20.35 ID:QKSHiEFPP
三人は、しばらく呆けていた。
ブーンの吐き気が止まり、ツンが死んだということを受け止めたとしても、なにかをしようとはしなかった。

言葉が発せられたのは、それから長い時間が経った後だった。

(´・ω・`) 「……俺は殺された、ってさ」

川 ゚ -゚) 「……なんだ」

(´・ω・`) 「やっぱり、ドクオのことなのかな」

( ;ω;) 「……」

川 ゚ -゚) 「……かもしれないな」


93 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:03:30.02 ID:QKSHiEFPP
(´・ω・`) 「ってことはさ、ツンが死んだのは……」

川 ゚ -゚) 「……復讐や呪いとでも言いたいのか?」

クーの言葉に、ショボンが俯く。
そして拳を強く握ると、床を思い切り叩いた。

(´;ω;`) 「だっておかしいだろ!? この本だってそうだ!」

ショボンが新たに見つけた本を、思い切り床に叩きつける。

(´;ω;`) 「僕らは殺されるんだよ!! ドクオに殺されるんだ!!」


95 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:05:29.56 ID:QKSHiEFPP
川 ゚ -゚) 「落ち着け。ショボン」

泣き叫ぶショボンに対して、クーは冷静だ。

川 ゚ -゚) 「ドクオは死んでいるんだ。死んだ人間が生き返ることは、まずありえない」

そこでクーがツンの遺体を見る。
悲しげな目をして、溜め息をつくと言葉を続けた。

川 ゚ -゚) 「とすれば、こう考えるほうが自然じゃないか?」

川 ゚ -゚) 「ドクオの亡霊のふりをして、ツンを殺した人間がいる」


97 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:08:10.56 ID:QKSHiEFPP
(´;ω;`) 「……」

ショボンの泣き声が、すすり泣きに変わった。
時々嗚咽を漏らすショボンの肩に手をおき、クーが優しく諭す。

川 ゚ -゚) 「だから、とりあえずここを出よう。そして、警察に相談するんだ」

川 ゚ -゚) 「な、そうしよ……」

( ^ω^) 「駄目だお」

川 ゚ -゚) 「……正気か?」

( ^ω^) 「そのツンを殺した人間が、この屋敷にまだいるんだお。今僕らがここを出たら、そいつは逃げちゃうお」

川;゚ -゚) 「……なっ!?」

(´・ω・`) 「……」


99 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:10:14.36 ID:QKSHiEFPP
( ^ω^) 「だから……」

ブーンが、床に叩きつけられた本を拾い上げる。
さきほど、ショボン達が新たに見つけてきたものだ。

( ^ω^) 「この本の続きを読むお」

川 ゚ -゚) 「……」

(´・ω・`) 「……」

ブーンが持つ本の表紙には、タイトルのみが書かれている。

『 観 察 者 (中) 』、と。


109 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:23:17.59 ID:QKSHiEFPP
長い沈黙が続いた。
クーはてこでも動かないぞ、という態度を示し、ショボンは指をいじりながらどっちつかずでいる。

やがて、ブーンが溜め息をついた。

( ^ω^) 「……なら、仕方ないお」

川 ゚ -゚) 「……」

(´・ω・`) 「……」

ブーンが手に持っていた本を床に置き、その場にあぐらをかく。



110 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:24:42.02 ID:QKSHiEFPP
川 ゚ -゚) 「やっと帰る気になったか?」

( ^ω^) 「……」

クーの問いかけには返事をせず、腕を組んで目を瞑った。
そしてやがて「よし」と呟くと、その両手を解き――本を開いた。

川;゚ -゚) 「おい!?」

(;´・ω・`) 「ブーン!?」

二人が慌てふためくが、ブーンは我関せずといった顔で、開かれた頁を睨み続けている。
そしてそれを両手で掴み、持ち上げると、

( ^ω^) 「――突如、女の悲鳴が聞こえた」

本の内容を、口に出して読み始めた。


112 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:26:19.12 ID:QKSHiEFPP
( ^ω^) 「小太りの男はいの一番に、悲鳴の元へと向かう」

川;゚ -゚) 「おい、ブーン。やめろ」

ゆっくりと、内容を確かめるように音読する。

( ^ω^) 「男はなにかに躓き、倒れてしまった。すると、二階から気弱そうな男がその姿を照らす」

(;´・ω・`) 「……」

ほんのわずかだが、口の動きが滑らかになる。

( ^ω^) 「黒髪の女が、小太りの男にそれを知らせようとする。鈍感な小太りの男は、ゆっくりとそれへ顔を向け、
       それの存在に気づく。それの顔はひどく青ざめ、目は大きく見開かれ、かつてのような可憐さはもちあ
       わせていない、巻き髪の女の死体だった。小太りの男は吐く。吐く。何度も吐く。そして突然の悲劇に
       三人は呆然と――」

川;゚ -゚) 「ブーン、やめろと言っているだろ!!」

ブーンはなにかにとり憑かれたかのように、早口で読み続けた。
何度も何度も唾が飛ぶ。しかし、決して息継ぎすることなく、読み続けた。



113 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:28:17.27 ID:QKSHiEFPP
( ^ω^) 「……彼らはこれからどうするか揉め始める。だが、やがて小太りの男が本の続きを読むことを提案する」

( ^ω^) 「女は断固拒否するが、小太りの男は狂ったように本を声に出して読み始めた」

( ^ω^) 「……ここまでが、今の状況だお」

ブーンはそう言うと、今読み上げた頁をクーとショボンに開いて突きつけた。
確かにブーンが読んだところまでで、文は終わっている。

( ^ω^) 「……この続き、どうするお?」

川 ゚ -゚) 「……」

(´・ω・`) 「……」


116 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:30:08.00 ID:QKSHiEFPP
川 ゚ -゚) 「ここまでしておいて、私たちに判断を問うのか?」

(´・ω・`) 「選択権なんて、あってないようなものじゃないか」

( ^ω^) 「……じゃあ、続きを読むお」

ブーンは本を床に置くと、三人で見れるように向きを変える。
ショボンとクーがブーンに体を寄せ、体勢が整った。

( ^ω^) 「……じゃあ開くお」

上巻に劣らない薄さの中巻は、あとほんの数頁で終わりそうだ。
ブーンは震える右手を左手で抑えながら、頁を捲った。

( ^ω^) 「……」

川 ゚ -゚) 「……」

(´・ω・`) 「……」


118 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:32:11.63 ID:QKSHiEFPP
『 一人は、復讐だと言った。

  一人は、人為的なものだと言った。

  一人は、進まなければならないと言った。

  二人は、最後の一人に従ったようだった。

  今度は小太りの男が懐中電灯を持ち、先頭に立った。

  そして再び二階へと上がると、三人はあの悲劇があった部屋へと入っていく。』


122 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:33:45.68 ID:QKSHiEFPP
(´・ω・`) 「悲劇があった部屋って……」

川 ゚ -゚) 「ああ、ドクオが飛び降りた部屋だろうな」

クーとショボンが二階を見上げる。
その視線の先には、一番奥にある客間の扉を見つめた。

( ^ω^) 「二人とも、まだ右半分しか読んでないお」

川 ゚ -゚) 「あ、ああ」

(´・ω・`) 「あ、ごめん」

三人が読んだのは、見開きのページの右側だけだ。
ブーンに促されて、二人は左側を読み始める。


124 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:35:36.76 ID:QKSHiEFPP
『 その部屋に入ると、女は動けなくなる。

  気弱な男は女を助けるために、暖炉で鍵を探す。

  小太りの男は、ただそれを見ている。

  やがて、男と女が死ぬ。』



125 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:36:55.21 ID:QKSHiEFPP
ここで、本は終わりであった。

今までに比べると、随分と抽象的な文になっていた。
だが、今まで一番衝撃的でもあった。

そこで、ショボンが疑問を口にした。

(;´・ω・`) 「最後……どっちの男が死ぬか、明記されていないね」

(;^ω^) 「あ……本当だお」

そう、そこには「男」としか書いていない。
小太り、とも、気弱な、とも付け足されてはいない。

( ^ω^) 「ひどく、適当で抽象的だお」

川 ゚ -゚) 「どちらにせよ、私が死ぬ事は確定してるらしいな」

(;´・ω・`) 「……」

ハハ、とクーが乾いた笑い声をあげる。


127 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:38:25.89 ID:QKSHiEFPP
今までの事を思い返せば、この内容は現実となるだろう。
それはここにいる誰もがわかっていることだ。

( ^ω^) 「それでも、行くかお?」

ブーンの問いかけに、二人は閉口する。
すると、クーがポツリと呟いた。

川 ゚ -゚) 「……もし、これの通りに行動しなかったら、どうなるのだろう」

(´・ω・`) 「え?」

そう言うや否や、クーが急ぎ足で出口へ向かいだした。
ブーンとショボンは暗闇に消えていくクーを見ながら、一抹の不安を感じる。

( ^ω^) 「さっきのツンみたいに……ならないかお」

(;´・ω・`) 「はは、そしたら本に書いてあることと違っちゃうじゃないか」


130 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:41:23.20 ID:QKSHiEFPP
大した時間ではなかっただろう。
しかし、待つほうは長く感じるものだ。

川 ゚ -゚)ノ 「よ」

(;^ω^) 「……ふーっ」

(;´・ω・`) 「良かった」

だから、クーが戻ってきたとき、ブーンとショボンは大きく安堵の溜め息をついた。
では、何故戻ってきたのか?

川 ゚ -゚) 「玄関が開かなかった。恐らく、外になにか重いものでもあるのだろう」

(´・ω・`) 「……どういうことだ?」

川 ゚ -゚) 「つまり、やはり誰か人間が私たちを殺そうとしている、ということだな」


132 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:43:25.31 ID:QKSHiEFPP
この調子ならば、とクーが続ける。

川 ゚ -゚) 「きっと、指定された場所以外行けなくなっているんじゃないか?」

( ^ω^) 「自然と本通りの行動をしてしまう、ってことかお?」

(´・ω・`) 「でも、それにしては今まで具体的な行動まで当たってたじゃないか」

川 ゚ -゚) 「ふむ、そうだな。でも……」

クーが頭をかき、俯く。
そして髪をかきあげるようにして、顔をあげた。

川 ゚ ー゚) 「私がこの屋敷から出て行こうとする、ってこの本には書いてなかったな」

――ドクオの呪いなんてあるわけないんだよ

クーがこの日、初めて笑顔を見せた。
その屈託のない笑顔は、不思議と安心感を与えるものだった。


135 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:45:15.95 ID:QKSHiEFPP
( ^ω^) 「じゃあ、行くかお」

ブーンが懐中電灯を持ち、立ち上がる。
とそこでブーンはニヤリと笑い、懐中電灯をショボンに託した。

( ^ω^) 「こんな本に従う必要ないお。クーが教えてくれたお」

ブーンがクーに向かって親指を立てる。
クーが一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに親指を立て返した。

川 ゚ ー゚) 「ふふ……」

(´・ω・`) 「あはは……」

( ^ω^) 「おっおっおww あの本に書いてある通りになんか、もうならないお」

そこで三人は、この日初めて腹を抱えて笑った。
それは安心感から来るものなのか。それとも、意地を張っているのか。


137 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:47:05.29 ID:QKSHiEFPP
(´・ω・`) 「じゃあ、行こうか」

ショボンが先頭に立つ。クーがそれに続く。
しかし、ブーンは動こうとしなかった。

川 ゚ -゚) 「ブーン?」

( ^ω^) 「……ちょっとだけ、待ってほしいお」

いまどきの若者にしては珍しく、ブーンはポケットから自前のハンカチを取り出す。
そしてそれを、ツンの顔にゆっくりとかけた。

(´・ω・`) 「……」

川 ゚ -゚) 「……」

( ^ω^) 「汚してしまって、ごめんだお。すぐに戻ってきて、広い墓に入れてやるお」

三人は、ツンに向かって静かに黙祷をし、そして二階へと向かった。



138 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:48:40.92 ID:QKSHiEFPP
(´・ω・`) 「……ここだね」

三人は、かつてドクオが飛び降りた部屋、つまり悲劇があった部屋の前にきていた。
外からの見た目は、他の部屋となんら変わりない。

ただ、中にはなにがあるかわからない。
そこは、果てしない闇だ。

(´・ω・`) 「さて……二人とも」

( ^ω^) 「なんだお?」

川 ゚ -゚) 「どうした、ショボン」

(´・ω・`) 「これは悪夢だ。早く終わらせなければならない。だから……」

――みんな、生きて帰ろう

( ^ω^) 「……約束するお」

川 ゚ -゚) 「ああ、約束だ。もちろん、ショボンもな」

(´・ω・`) 「……うん」



139 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/29(月) 23:50:24.83 ID:QKSHiEFPP
(´・ω・`) 「じゃあ行くよ」

ショボンがドアノブをゆっくりと回し、ゆっくりと引く。
さきほどのように、先に一人で入ったりはしない。まずは、中を懐中電灯で照らす。

(´・ω・`) 「……特になにもないね」

川 ゚ -゚) 「そうか。じゃあ、入ってみるか」

三人は、とりあえず中へ入った。
だいぶ暗闇に目が慣れてきたせいか、若干だがなにがあるかは捉えられる。

機能付きデスク、ベッド、洋風の暖炉。
しばらく、三人は部屋を探索した。しかし、なにか起こる気配はない。


150 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:07:09.53 ID:RKEvetK6P
(´・ω・`) 「……風?」

ふと、肌寒さを感じてショボンは周囲を見渡した。
ベランダへの窓が開いている。カーテンが揺れ、そこから風が入っていることが覗える。

川 ゚ -゚) 「寒いぞ。……誰だ、開けたのは」

( ^ω^) 「ごめんごめん、僕だお」

ベランダのほうからブーンの声がする。
カーテンが靡いて、クーとショボンからはブーンの姿を確認することができない。

( ^ω^) 「クー、こっちへ来てみるお。夜風が気持ちいいお」

川 ゚ -゚) 「おい、ブーン。今はそんなときじゃないぞ」

クーが仕方なしに、ベランダへと出向く。
ベランダにはそこに不似合いな、ロッキングチェアがあった。

そしてベランダの柵に肘を載せ、クーのことを見つめるブーンがいた。


154 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:10:31.58 ID:RKEvetK6P
( ^ω^) 「……ここから、ドクオは飛びおりたんだお」

川 ゚ -゚) 「……そうだな」

クーがブーンのほうへ、一歩足を踏み出そうとした。
すると、大きくギィと木の軋む音が聞こえたので、クーの体は反射で止まる。

川 ゚ -゚) 「このベランダは木製か。けっこう、古いみたいだな」

( ^ω^) 「そうなのかお。クーがデブなんじゃないかお?w」

川 ゚ -゚) 「ブーン。あとで打撲な」

(;^ω^) 「正直すまんかったw」


161 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:16:08.50 ID:RKEvetK6P
( ^ω^) 「死ぬ直前、ドクオはこの椅子に座って本を読んでいたらしいお」

川 ゚ -゚) 「いや、そんなはずはないぞ」

( ^ω^) 「そうだお。確かにこの椅子に座っていたんだお。ここに座って景色をみればわかるお」

川 ゚ -゚) 「君は変な奴だな、座ればわかるだと? 座って見る景色に、なにか意味があるのか?」

( ^ω^) 「僕のロマンチックなハートに火がつくおwww」

川 ゚ ー゚) 「……馬鹿ばかしい」

クーが、ロッキングチェアーに腰をかける。
ロッキングチェアーがゆらり、ゆらりと揺れる。


164 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:19:41.63 ID:RKEvetK6P
川 ゚ -゚) 「ブーン、一体どういう意味――」

ガチャン、ガチャン。二つの音がした。

川 ゚ -゚) 「――え?」

ガチャン、ガチャン。更に二つの音がした。






( ^ω^) 「――捕まえたお」









168 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:23:29.86 ID:RKEvetK6P
クーの両手両足は、ロッキングチェアーと手錠で繋がれていた。
銀色に鈍く光を放つそれに、月が映りこんでいる。

川 ゚ -゚) 「……ブーン、これはなんの真似だ?」

( ^ω^) 「このベランダ、すごい古いんだお」

川 ゚ -゚) 「いや、だから――」

( ^ω^) 「だから、――ほらっ!!」

ブーンがドスン、とジャンプする。
すると、ベランダが大きく揺れた。

川;゚ -゚) 「な、なにをする!」

( ^ω^) 「大丈夫。こんなので壊れるわけないお」

ブーンが更にドスン、ドスン、とジャンプを繰り返す。
ベランダは更に大きく揺れた。


174 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:26:47.21 ID:RKEvetK6P
「何をするんだ!! やめろ!!」

クーの叫び声が、部屋にまで届いた。
それを聞いたショボンが、素早く反応する。

(;´・ω・`) 「クー!?」

ショボンは探索を中止し、慌ててベランダへと飛び出す。
するとまた、ベランダが大きく揺れた。

(;´・ω・`) 「うわっ!」


174 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:26:47.21 ID:RKEvetK6P
「何をするんだ!! やめろ!!」

クーの叫び声が、部屋にまで届いた。
それを聞いたショボンが、素早く反応する。

(;´・ω・`) 「クー!?」

ショボンは探索を中止し、慌ててベランダへと飛び出す。
するとまた、ベランダが大きく揺れた。

(;´・ω・`) 「うわっ!」


178 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:29:22.26 ID:RKEvetK6P
川;゚ -゚) 「馬鹿! ショボンこっちへ来るな!!」

( ^ω^) 「あーあ。デブのショボンがきたせいで、取り返しのつかないことになっちゃったお」

ブーンがチラリと、ベランダと部屋の接続部分を見やる。
木製の支柱がもう、折れかけていた。

( ^ω^) 「まあ、半年かけて腐らせたんだから、こんなもんかお」

ブーンが笑い声をあげる。
そして、軽いステップでベランダと部屋の境目に立つ。

そして、クーのロッキングチェアーに手をかけると――
思い切り揺らす。


182 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:32:15.43 ID:RKEvetK6P
川;゚ -゚) 「や、ややめろ!! 自分がなにしているかわかっているのか!?」

ロッキングチェアーに拘束されたクーの体が、椅子と一緒に前後に大きく揺れる。
そのたびに、ベランダ全体が悲鳴をあげる。

( ^ω^) 「うるせーお。黙ってろお」

ブーンは安全地帯から、更にロッキングチェアーを大きく揺らした。

(;´・ω・`) 「おい! ブーン! なんでこんなことするんだよ! クーを助けろよ!!」

( ^ω^) 「ショボン、落ち着けお。クーを助けたいなら、あの本に書いたあったことを思い出せお」

(;´・ω・`) 「なにを……。!!」

ショボンはなにかを思い出したように、部屋へと戻る。
そして部屋に備え付けられた、洋風暖炉へと頭を突っ込んだ。


184 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:35:06.46 ID:RKEvetK6P
(´;ω;`) 「クソ! 鍵はどこだ!? 鍵、クーを助けるための鍵!!」

川 ;-;) 「ショボン! 早くしてくれ!! ベランダが落ちる!!」

煤だらけになりながら、必死に頭を突っ込むショボン。
ロッキングチェアーに揺られながら、崩れ行くベランダの上で助けを求めるクー。

( ^ω^) 「ショボーン。急いでくれおー。クーが落ちちゃうおー」

ブーンはそう言いながら、更にロッキングチェアーを加速させる。
何度も前後に。前後に何度も。

川 ;-;) 「うわぁあああああ! 頼む!ブーンやめてくれ!!」

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。

前後に前後に前後に前後に前後に前後に前後に前後に前後に前後に。

揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる。
揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる。
揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる。


190 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:39:00.27 ID:RKEvetK6P
( ^ω^) 「あはっ。あはははははは」

ブーンは激しくゆれるクーと、今にも崩れそうなベランダを見て、満足そうに笑った。
そしてくるりとターンすると、部屋の中へと戻った。

部屋では、まだショボンが暖炉に頭を突っ込んでいた。

(´;ω;`) 「鍵! 鍵が見つからない! 鍵はどこだ!?」

( ^ω^) 「……」

床に寝そべって暖炉に頭を突っ込む姿は、醜い。
ブーンはその姿を一瞥すると、ショボンの上に全体重をかけて乗った。

(´;ω;`) 「いだっ! なにするんだ!!」

( ^ω^) 「ベランダからの風が寒いから、暖炉に火でも焚くお」


194 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:42:23.28 ID:RKEvetK6P
(´;ω;`) 「!!」

暖炉の中には、種火となるクズと、薪が常備してあった。
ブーンはショボンの尻ポケットからライターを取り出すと、種火に着火する。
すると、小さな炎が現れた。

(´;ω;`) 「やめろ!! やめてくれ!! 頼むからやめてくれ!!」

( ^ω^) 「黙ってろお。お前の頭がまる焦げになるまで、お前の上に乗っている身にもなれお」

(´;ω;`) 「なんでこんなことするんだよ! なんなんだよ!!」

( ^ω^) 「そんなの、自分が一番わかってるお?」

(´;ω;`) 「ちが、こんなはずじゃ、ちが……ち……」

気づけば、暖炉内で炎が燃え盛っていた。
ショボンはもはや言葉を発さなくなり、抵抗を見せる様子もない。

ブーンはそれを確認すると、再びベランダの様子を見に行った。


197 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:45:35.51 ID:RKEvetK6P
ベランダはもう、傾きを見せ始めていた。
支柱部分の木材は、かろうじてその形を保っている。

川 ゚ -゚) 「ショボン……。早く、ショボン……」

( ^ω^) 「……」

クーの瞳はもう、乾いていた。
ショボンが死んだとも知らずに、助けを求め続けている。

川 ゚ -゚) 「鍵を……。早く……」

( ^ω^) 「お前らの思い通りになんか、させてたまるかお」

ブーンはもうほとんど揺れていないロッキングチェアーをゆっくり引く。
そして思い切り揺らすと――

川 ゚ -゚) 「――あ」

ベランダとその破片は、暗闇の底へ消え去っていった。


202 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:48:33.85 ID:RKEvetK6P
ブーンはそれを見届けることなく、部屋へと戻る。
そしてベッドの上に腰掛けると、携帯電話を取り出した。

( ^ω^) 「――しぃ、終わったお。入ってくるといいお」

ブーンはそれから一言二言交わすと、携帯電話をベッドの上に放り投げた。
そして、そのまま上体を倒すと、両手で顔を覆い、大きな溜め息をついた。

( ^ω^) 「ドクオ、これで全部終わったお……」

そしてそのまま、ブーンは浅い眠りへと落ちていった。


204 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:51:17.99 ID:RKEvetK6P
部屋にノック音が響く。
最初は軽やかだが、徐々に激しくなっていく。
ブーンはその音で、目を覚ました。

( ^ω^) 「……お」

「早くあけてよ?」

( ^ω^) 「……しぃかお」

ブーンはだるそうに起き上がると、部屋の扉をあけた。
そこにはゴスロリチックな服をきた、しぃと呼ばれる女性がいた。

(*゚ー゚) 「遅い!!」

( ^ω^) 「……疲れて寝てたんだお」

しぃはずかずかと部屋にあがりこむと、ベッドの上に腰掛けた。
そしてその横をぽんぽん、と叩く。
ブーンはそれを見て、しぃの隣に腰をおろした。


207 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:54:59.15 ID:RKEvetK6P
(*゚ー゚) 「ブーン君、すごい演技うまかったよ?。私、感動しちゃった」

( ^ω^) 「……見てたのかお」

(*゚ー゚) 「ううん、これ」

しぃがトランシーバーを取り出す。
恐らく、ブーンの体のどこかに送信機がついているのだろう。

(*゚ー゚) 「ショボン君達も、名演技だったけどね?」

( ^ω^) 「……狂った女だお」


211 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:56:57.78 ID:RKEvetK6P
( ^ω^) 「しぃ、病気のほうは大丈夫なのかお?」

(*゚ー゚) 「一応薬はもらってるけどね?、まあそれでもあいつらを殺せると思ったら、そんなの気にしないの」

(*゚ー゚) 「あいつら、許せないもんね! なんたって、ドクオ君を殺したんだから!!」

( ^ω^) 「そうだお、ドクオはあいつらに殺されたんだお」

( ^ω^) 「僕はそれを知っていながら、どうすることもできなかったお」

( ^ω^) 「だから今回は手を貸したんだお。次はないお」

(*゚ー゚) 「私だって頑張ったんだよ!! ツンちゃん殺したし、一応扉を外から車で封じておいたし。だからトランシーバーなんて使ったの!」

( ^ω^) 「まあ、でもしぃは今回ほぼ見てる側だったお。まさに、観察者だお」

男と女は、顔を見合わせる。
二人はそこで思わず笑ってしまうが、男の笑みにはどこか寂しさがあった。


214 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 00:59:59.44 ID:RKEvetK6P
(*゚ー゚) 「けど、あの本の効果は大きかったね」

( ^ω^) 「だお……」

嬉々として話すしぃに対して、ブーンは気のない返事をする。
あの本とはもちろん「観察者」のことだ。

(*゚ー゚) 「ショボン君達に、この台本通りに動けば、ツンちゃんもブーン君も殺せるよって言ったら信じちゃったもんね!」

( ^ω^) 「そうだったんですかお。僕にも、ショボン達を殺すための台本をくれてどうもありがとうだお」

ブーンが吐き捨てるように言う。

(*゚ー゚) 「ショボン君達は、ブーン君を殺せると思って台本通りに動いていたのに、最後には逆に殺されちゃうんだもんねぇ!」

(*゚ー゚) 「ブーン君達にも台本があったなんて、ショボン君が知ったらびっくりするだろうね!」

(*゚ー゚) 「こっちは見てて楽しかったよ! だってブーン君もショボン君もクーちゃんもツンちゃんも、台本どおりの名演技をしてるんだもん!」


216 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:02:45.89 ID:RKEvetK6P
(*゚ー゚) 「ツンちゃんには申し訳なかったなー。だって、ツンちゃんの台本には、ツンちゃんが死ぬこと書いてなかったんだもん」

(*゚ー゚) 「でもツンちゃんを殺したお陰で、ショボン君もクーちゃんも一気に私に対して信頼度を上げたみたいだしね!」

( ^ω^) 「なんであいつらもツンを殺したがってたんだお?」

(*゚ー゚) 「んー、なんかツンちゃんが自首しようって度々二人に言ってたみたい。それで邪魔になったんじゃない?」

しぃのほんのりと紅く染まっている頬が、更に紅潮してきていた。
とてつもなく興奮していて、喋らずにはいられなくなっているのだ。

(*゚ー゚) 「ああ、愉快! みんな私の台本通りに動くんだから!!」

( ^ω^) 「……」

ブーンはただそれを、冷たい目で見ていた。


219 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:04:58.31 ID:RKEvetK6P
(*゚ー゚) 「……そうだ、もう一つ面白いこと教えてあげようか」

( ^ω^) 「……なんだお?」

しぃがゴソゴソとバッグを漁る。
中から出てきたのは、一冊の薄っぺらい本だった。

(*゚ー゚) 「じゃじゃ?ん。実は、一応下巻まで用意しておいたんだ! 見る?」

( ^ω^) 「……見るお」

ブーンはそれをしぃから受け取り、表紙を捲った。


222 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:07:43.81 ID:RKEvetK6P
『 男は死んだ。女も死んだ。

  残ったのは、男と女だけ。男と女だけ。

  やがて、女は一人になった。

  男を殺して、一人になった。  』


225 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:10:40.13 ID:RKEvetK6P
( ^ω^) 「これって――」

ブーンの言葉は、そこで途切れた。
彼の左胸とわき腹は、大きな包丁で深く抉られている。

彼はなにも言わず、なにも見なかった。
そして間もなく絶命した。

(*゚ー゚) 「ごめんね。私からしたら、彼らの犯行を知ってたのになにもしなかった君も、同罪なんだよね」

しぃはニコッと微笑んで、ブーンの死に顔を見取った。
この部屋には二つの死体があるというのに、しぃは決して笑みを絶やす事はない。


227 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:12:26.60 ID:RKEvetK6P
(*゚ー゚) 「……」

しぃはうわごとのように、「ああ愉快愉快」と何度も繰り返していた。
彼女のポーチからのぞく錠剤には、決して手をつけることはない。

(*゚ー゚) 「うっ、寒っ!」

しぃが両手で体を抱きかかえる。
ベランダへの窓は依然として開いたままで、冷たい夜風が吹き込んできている。

(*゚ー゚) 「全くもー、ちゃんと閉めてよね……ん?」

そのとき、風に吹かれて薄っぺらい本の、薄っぺらい一頁が捲られた。
しぃは特に意識することなく、その頁を覗き込んだ。



228 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:15:08.87 ID:RKEvetK6P
『 そして、女も死んだ。

  ベランダから落ちて、死んだ。

  これで全員死んだのだ。

  これでやっと、全員死んだのだ。  

                   End 』


232 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:17:23.82 ID:RKEvetK6P
(*゚ー゚) 「え、そんな――」

しぃの顔が青ざめて、体がふらふらとゆらめく。
その不安定な体は、徐々に後ずさりしていく。
確実に、風の吹き込むベランダへと向かって。

後ろには、深い深い闇がぽっかりと口を開けて待っている。

ずずっ、ずずっ。
彼女は恐怖に慄き、徐々に、徐々に、後ずさる。

(*゚ー゚) 「どうして、どうして私まで――」

青ざめた表情。
彼女はわけのわからない言葉を呟くと、飲み込まれるようにして闇の中へと消えていった。

やがて、屋敷からは物音が消えた。


235 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:20:31.29 ID:RKEvetK6P
エピローグ

そこで彼女が、口を閉じる。
一瞬寂しそうな目をして、そしてすぐ笑顔に変わる。

ζ(゚ー゚*ζ 「というわけで、結局全員死んでしまったのでした」

( ・∀・) 「……本が彼らの行動を予言したのではなく、彼らが本の通りに動いていた」

ζ(゚ー゚*ζ 「そうそう」

( ・∀・) 「ツンやショボンやクーが死んだのも、ドクオの呪いなんかではなく、単なる殺人だった」

ζ(゚ー゚*ζ 「そうそう」

( ・∀・) 「なーんも、ミステリアスな部分もホラーな部分も完全に消えたじゃないか。駄作だよ、駄作」

ζ(゚ー゚*ζ 「でも、最後しぃも死んじゃったんだよ? 全ての元凶であるしぃが、あの本の予言によって。そこはホラーチックじゃない?」

僕は「うーん」と気の抜けた返事をしたが、別に全くの興味が削がれたわけではなかった。
いや、むしろ言うならばこの話に更に興味を抱いたといえよう。
何故なら、僕はこの話に隠されたあることに気づいてしまったから。

彼女も、それを見越した上でこの話をしたのだろう。


241 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:24:08.82 ID:RKEvetK6P
僕の悪い癖が出てしまう。

( ・∀・) 「なあ、この話を聞いて幾つか疑問を抱いたんだけど」

ζ(゚ー゚*ζ 「んー、なに?」

( ・∀・) 「まず一つ目。首謀者のしぃはさ、ブーンに「観察者」の台本を渡して、ショボン達にも渡したわけでしょ?」

そう、それがあったからこそ「観察者」の予言どおりに、彼らは動いたのだ。
だが、ショボン達は最後に裏切られて、自分たちが貰った台本どおりの結末を迎えなかったわけだが。

( ・∀・) 「でも思ったんだけどさ、全てが「観察者」の通り進んだのってさ」

( ・∀・) 「お互い、相手も台本を持っていると事前に知らされている条件下じゃないとありえなくないかな?」

( ・∀・) 「さっきの話のしぃの口ぶりからだと、そんな様子はなかったように思えるんだけど」


244 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:27:28.22 ID:RKEvetK6P
ζ(゚ー゚*ζ 「どうして?」

彼女が、小さく首をかしげる。
淡い茶色の髪の毛が、彼女の肩で揺れた。

( ・∀・) 「だって、相手が台本持ってるって知らないのに、相手も台本通り動いたら、おかしいと思わない?」

ζ(゚ー゚*ζ 「まぁ確かに。でもそしたらこう考えるわ。ああ、相手も台本をもらっていたんだな、って」

( ・∀・) 「それじゃあ、駄目なんだよ」

ブーンはショボン達を殺したいと思って、台本通りに動いた。
ショボン達はブーンを殺したいと思って、台本通りに動いた。

何故台本通りに動いたか? 台本をくれたしぃを信頼してたから?

自分のもらった台本を見て、相手が台本通り動くのを見る。
そして、「ああ、相手も台本をもらっていたんだな」って考える。

この時点で、台本をくれたしぃに対する信頼は崩壊する。
だって、台本の内容が相手に筒抜けなんだからね。


246 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:29:41.47 ID:RKEvetK6P
彼女は、それを黙って聞いていた。
そして一言、「難しい。ていうか、それじゃ矛盾しちゃうじゃん」。

不機嫌そうな彼女など気にせずに、僕は自分の考えを言い続ける。

( ・∀・) 「そうだね。相手が台本通りに動くことを求めているのに、相手が台本通りに動いたら疑心暗鬼になる。これはおかしい」

( ・∀・) 「ということはだよ、この話のなかでは、さっき言った条件が成立していると考えるほうが自然なんだ」

ζ(゚ー゚*ζ 「でも、そんなのおかしいじゃない。相手が自分の台本を知っていると知ったら、それこそ疑心暗鬼になるわよ」

( ・∀・) 「……そうだな、例えばこういうのはどうだろう」


250 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:33:07.63 ID:RKEvetK6P
仮定として、新たな登場人物Xがいるとしよう。
このXはこのしぃの計画を知っていて、いや、というよりしぃにこの計画を享受したのだろう。
ブーン達とショボン達に台本を渡して、全員が死ぬように仕向ける計画を。
そうなると、Xがしぃを操っていたことになるね。

精神病院に通っていて、あまり正常に物事を考えることのできないしぃは、
この戯曲は特殊な条件化でしか発生しない、ということに気づかなかった。
恐らく、Xはそれを見越していたのだと思う。しぃは所詮ピエロだったんだ。

そしてXは、まずブーンに言う。
「君にショボン達を殺せる台本を与えよう。ショボン達にも、ブーンを殺せる台本を渡してある。
 その内容は途中まで一緒だが、最終的にショボン達は君を殺せないようになっている。
 それを知らずに、ショボン達は台本通りに君を殺そうとしてくるだろう。
 だが、その台本に書いてある通りにショボン達が動くことこそ、彼らが私の罠に嵌っている証拠なのだ」

ってな感じでね。
もちろん、ショボン達にも似たようなことを言ったんだ。


253 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:36:03.74 ID:RKEvetK6P
( ・∀・) 「そうすれば、相手が自分の持っている台本通りに動いても不審には思わない、はずだよ」

( ・∀・) 「これでまず、この物語が成り立つ」

( ・∀・) 「それと同時に、新しいことが発覚する。この物語には、隠された登場人物Xがいるんじゃないかな、って」

ζ(゚ー゚*ζ 「……」

この隠された登場人物Xは、実に頭の切れるやつだ。
恐らく、Xは今回の人間全員を殺したかったんだろう。
ドクオの死に関連する、全ての人間たちを。

( ・∀・) 「そして、たった一つの台本と五人の人間を操ることによって、全員を殺してしまったんだ」

それを聞いて彼女が呟く。「実に、恐ろしい人間ね」と。


257 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:39:04.46 ID:RKEvetK6P
( ・∀・) 「まあ、そのXがどのような人物かというのはさておき、利害関係を整理してみよう」

しぃは、ドクオを殺したショボン・クー・ツン、ドクオに対して見殺しまがいのことをしたブーンを殺したかった。
ブーンは、ドクオを殺したショボン・クー・ツン。ツンは自分の犯行を知るブーン。
ショボンとクーは、自分たちのお荷物となったツン。そして自分たちの犯行を知るブーン。

( ・∀・) 「あと、ショボンとクーは恐らくしぃも殺そうとしていたんじゃないかな」

ζ(゚ー゚*ζ 「どうして?」

( ・∀・) 「だって、しぃもショボン達が犯人だって知ってたわけだろ?」

( ・∀・) 「それに、普通ドクオの恋人だったしぃがさ」

( ・∀・) 「ドクオを殺した本人達にブーンを殺すための台本作ったりして、訝しがらないかい?」

ζ(゚ー゚*ζ 「ん、まあ」

( ・∀・) 「Xはショボン達がしぃを殺したがってるのを知ってて、しぃをショボン達にけしかけさせたんだ。
       ショボン達はXの思惑がわかっているから、しぃに従うふりして、Xの用意した裏台本に従ってしぃも殺そうとしてた」


260 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:41:53.75 ID:RKEvetK6P
( ・∀・) 「それに、観察者(中)の最後のページを見て、ショボン達が戸惑う様子を見せなかったことからも説明がいく」


『 その部屋に入ると、女は動けなくなる。

  気弱な男は女を助けるために、暖炉で鍵を探す。

  小太りの男は、ただそれを見ている。

  やがて、男と女が死ぬ。』

( ・∀・) 「この文章を見て、疑問をもたないかい?」

ζ(゚ー゚*ζ 「……ショボン達の台本がブーン達を殺す内容だとして、この文面・あの場面だと三人の中で確実にクーが死んでしまう、かな?」

( ・∀・) 「そう、正解。ただ、ショボン達はこう考えていたんだよ。死ぬ男と女は、ブーンとしぃ、だって」

( ・∀・) 「ここはXの巧妙なトリックさ。今まで具体的な文章で書いていたのに、急に抽象的になった」

( ・∀・) 「なんの特徴も記載せず、男と女が死ぬ、だけ。これならブーンにもショボン達にも通用するからね」

267 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:46:51.80 ID:RKEvetK6P
( ・∀・) 「さて、ここからXが全員を殺すための順序を整理してみよう」

( ・∀・) 「まぁ、ツンはおいておくとして、まずはショボンとクー」

( ・∀・) 「これは簡単だ。ショボン達を信頼させた上で裏切り、ブーンに始末させればいい」

ζ(゚ー゚*ζ 「そして自分の役割が終わって安心したブーンを、しぃが殺す」

( ・∀・) 「そう、そしてしぃ」

( ・∀・) 「彼女は観察者(下)の中に、自分さえ予想だにしない文を見つけてしまった」

ζ(゚ー゚*ζ 「そして、それに動揺して、思わぬ転落死」

( ・∀・) 「……君はそう考えたのかい?」

僕の唇が微かに震える。
もしかしたら僕は、あまりにばかばかしい仮説を打ち立てているのではないか、と。


272 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:49:39.03 ID:RKEvetK6P
彼女が不可解そうな顔をする。
僕はそれをみて笑う。もう少しだから、聞いててくれよ、と。

( ・∀・) 「事前に、しぃはベランダが開いてることに気づいていた」

( ・∀・) 「そして、ブーンの半年仕込み発言を見ると、ベランダが崩落していたことも知っていたはずなんだ」

( ・∀・) 「だから、いくら動揺したからといって、自ら後ろずさりして落ちるなんて考えられないよ」

彼女は潤んだ瞳でこう言った。
「それで、なにが言いたいの?」

僕はたっぷりと呼吸をする。
そして、大きな溜め息をつくと、彼女に向かって言った。

( ・∀・) 「実は、Xがその場にいたんじゃないかな?」


283 : [―{}@{}@{}-] >>271ありがと!っておうぅえぇええええええ:2008/12/30(火) 01:53:26.39 ID:RKEvetK6P
そして、しぃにプレッシャーをかけるんだ。
包丁を持って迫るなり、襲い掛かろうとするなり。
まぁ、前者のほうが自然だな。

( ・∀・) 「話の流れからすると、しぃがあたかも観察者のようだったけど、観察者はしぃが死ぬのも見ていた」

( ・∀・) 「このことも、Xの存在を証明する材料に……こじつけかな」

( ・∀・) 「さて、ここまでの僕の見解に対して、君の見解を述べて欲しい」

ζ(゚ー゚*ζ 「特に無いわ。矛盾も少々、でもあくまで仮定の話。実現するのは難しいと思うの」

( ・∀・) 「……そうか、うん。僕も確かに無理があると思ったよ。あ、そうだ!」

僕はポケットに指を突っ込み、指輪ケースの存在を確認する。
指先はしっとりと汗をかいていて、自分でも緊張しているのがわかる。

ζ(゚ー゚*ζ 「ねぇ、でももう一つ言いたいことがあるの」

彼女の真っすぐな瞳を見て、僕の指先の汗は更に増加した。
落ち着け、なにを緊張しているんだ。


287 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:55:39.26 ID:RKEvetK6P
ζ(゚ー゚*ζ 「あなた、本当はまだなにか言い残していることがあるんじゃない?」

( ・∀・) 「……なにがだよ」

ζ(゚ー゚*ζ 「さっき自然に流してたけど……」


ζ(゚ー゚*ζ 「X……つまり本当の観察者がどんな人物か、あなたのなかでイメージできているんでしょう?」


彼女の言葉、瞳、全て。
それらを見て、僕の額から汗が噴出す。

ここで僕は自覚した。
僕は緊張しているんじゃない。焦っているんだ。


292 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 01:59:07.51 ID:RKEvetK6P
僕はこれに答えなければならないのだろうか。

彼女の瞳は、なにも言わずに僕を見ている。
彼女の唇は、一切動かずになにかを語ろうとしている。
彼女の耳は、ただ僕の言葉だけを聞き取ろうとしている。

( ・∀・) (今思うと、自分で招いたことだったな……)

そう、自分が好奇心など働かさずに、ご高説など垂れなければ良かったんだ。
ただ彼女の話を黙って聞いて、彼女を黙って抱きしめてやれば良かったんだ。

僕は揺りかご椅子に揺られながら、考える。
ああ、今宵の星が見たい。しかし、それを見るためのベランダが無い。

僕はポケットの中で、四角い箱を手の中で転がす。
だが、やがてそれにも飽きて、僕は指も動かすのをやめた。


297 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 02:05:14.11 ID:RKEvetK6P
( ・∀・) 「なあ、君の兄さんって亡くなってたよな」

彼女は涙の粒を瞼にためて、こくりと頷いた。
「お兄ちゃん、パパとママが死んで私を養うために、友達からすごい借金してたんだって」
彼女の頬に、涙の筋がそっと……。

ζ(゚ー゚*ζ 「この部屋ね、私のお気に入りなんだ」

「だってね――」

彼女が、いつも通りの最高の笑顔を見せる。
椅子から立ち上がり、本棚から適当に薄い本を二、三冊取り出す。

そしてそれらをぱらぱらっと捲り、また僕に向かって笑顔を見せた。


301 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 02:10:06.52 ID:RKEvetK6P
悪戯好きの青年が、仲間を舞台にした喜劇を描く。
喜劇は、やがて悲劇となり、あっけなく幕を閉じるのだ。

ζ(゚ー゚*ζ 「あと、ちょっとだったんだけどな」

( ・∀・) 「馬鹿、君の人生はこれからだろ――」

君は僕の一挙一動を眺めている。
いや、眺めているのではない。

『観察』しているのだ。

最後に、せめて最後に聞かせて欲しい。
何故君は、僕にこんな話をしたのかな?
誰かに気づいてほしかった? 自分のこれからを僕に託した?



それとも――






END


314 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/30(火) 02:15:56.64 ID:RKEvetK6P
あとがき

こんな時間まで付き合ってくれてありがとう。支援もありがとう。
突貫工事のミステリーのために、誤字脱字誤用矛盾あったと思う。
そこは誠意をもって謝りたい。すまんこ!!

ブーン系にミステリーホラーってあんまないんじゃないかなと思って、
急遽とっぱやで書いた。

んでもすごい楽しかった。

すんげー久しぶりに投下した気がするけど、投下するのって楽しい!
ってことに気づいた。

みんなのお陰よありがとうんこ!
スポンサーサイト
  1. 2008/12/30(火) 03:54:55|
  2. ブーン系小説(短編)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<从 ゚∀从君のようです。 | ホーム | ( ・∀・)観察者のようですζ(゚ー゚*ζ 【前編】>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://hatimituboy1061.blog66.fc2.com/tb.php/41-802ab689
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。