ハチミツ的な何か ?ブーン系小説短編まとめ?

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( ^ω^)'A`)ω・`)クリスマスなんかぶっとばしてやる!ようです


1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:09:14.78 ID:ViHjQKQW0

――2008年12月24日明け方――

 雲がかかり、いつもより暖かった数日間が過ぎ去り、迎えた日付は12月24日。

 聖なる日クリスマスの前日、クリスマスイヴだ。
 その日の明け方、日も昇らない内から、彼らの計画が動き出していた。

( ^ω^)「用意はいいかお?」

('A`)「ああ、いいぜ? 準備万端だ」

(´・ω・`)「もとより必要なのはこの身ひとつ……ならば出かけよう」

( ^ω^)「ああ、聖夜の夜に!」

('A`)「せめて抗おう! 例えそれが苦肉の策でも!」

(´・ω・`)「明日を見据えて立ち上がろう! 友と共に!」



( ^ω^)('A`)(´・ω・`)クリスマスなんかぶっとばしてやる!のようです



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:13:28.36 ID:ViHjQKQW0

( ^ω^)「まずは自己紹介から始めるかお」

 計画を果たす上での誓いの言葉を響かせた彼らは、
 アパートの隣人に怒声を浴びせられ、トーンダウンしていた。
 なので予定していたカラオケ大会はお流れになった。

('A`)「こんな時間から始めるなんて、緊張するな」

 計画の拠点であるブーン宅――地方のアパートの一室――の時計は4時30分を指していた。

(´・ω・`)「ふふ、でもこれからのことを思うと興奮が収まらないよ」

( ^ω^)「まったくだおね。でも今はやるべきことからやるお」

 場にいる全員が合意の意思を示したことにより、ブーンが言う。

( ^ω^)「僕は内藤ブーン。
       職業は大学生、趣味はランニングと散歩、特技なんて言葉で言うほどのことでもないけど……
       "能力"は服をサンタの服装に変えることだお」

 "能力"。
 ブーンたちが個別に持っているチカラであり、彼ら自身にすら謎に包まれたものである。
 今日彼らがこの場所に集った理由のひとつに、その能力が挙げられた。




5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:15:30.97 ID:ViHjQKQW0

('A`)「それはまた大変な能力だな、制御はできてんのかい?」

( ^ω^)「高校生まではできなかったけど、最近は落ち着いてきて、一応は制御可能だお」

(´・ω・`)「高校生まで、か。
      かわいそうに、そんな"能力"があったんじゃ満足な生活もできなかっただろうに」

( ^ω^)「だお、でもだからこそ、この度の計画に参加させてもらったんだお」

('A`)「まぁ、主催はブーンだけどな」

( ^ω^)「おっおっ」

(´・ω・`)「"能力"があったからこそ集まれた、っていう点には感謝しなきゃね」

( ^ω^)「だおね」

('A`)「じゃあ次は俺。ウツダドクオ。
    職業はフリーター、歳は20。
    特技なんて言葉で言うほどのことでもないが……」

 先程のブーンの言葉に似せて話すドクオ。
 口角を吊り上げながら話す彼の表情は期待に満ち溢れた満面の笑みだった。




6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:18:28.57 ID:ViHjQKQW0

('∀`)「"能力"は地面を滑ることだ」

(´・ω・`)「……こけてばかりでたまったもんじゃないね」

('A`)「ああ、お陰で膝が傷だらけだよ」

( ^ω^)「でも制御はできるんだお?」

('A`)「ああ、でも感情が高ぶるとそうはいかねーんだ」

(´・ω・`)「大変だねぇ」

('A`)「ああ、最後はお前だな」

(´・ω・`)「うん。僕はしょぼくれショボン。
      歳は17、高校生だよ」

('A`)「え゙!?」

(;^ω^)「工房かお……」

(´・ω・`)「悪かったね、老けてて」

('A`)「いや、大人びてるだけだろ、気にすんなよ」

(´・ω・`)「ありがとう」




7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:21:02.21 ID:ViHjQKQW0

( ^ω^)「いや、ホントに年上かと思ったけど、言われてみればなるほどだお」

(´・ω・`)「そう?」

('A`)「幼さってか、かわいげがあるな」

(*´・ω・`)「で、特技なんて言葉で言うほどでもないけど……」

( ^ω^)「……」

 照れ隠しであろうか、頬を染めながら他のメンバーと同じ様に話すショボン。
 それを見てブーンは、これまでの人生で一度も体験したことのない一体感を感じた。
 だが――



(´・ω・`)「"能力"は光の刃を指先から出すこと」



('A`;)「光の刃……だと?」

(;^ω^)「なんて恐ろしい」


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:23:59.43 ID:ViHjQKQW0

(´・ω・`)「うん。親にもこの"能力"が原因で家を追い出されちゃった」

('A`)「……そっか」

( ^ω^)「それはすまんかったお」

(´・ω・`)「いや、ごめん。関係ない話だったね」

('A`)「ああ、制御できてるなら、能力なんて関係ないよな」

(´・ω・`)「うん。僕は制御できないけど」

( ^ω^)「そっか……制御できないんだ」

(´・ω・`)「うん。できるだけ距離を置いてね」

('A`;)「……」


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:27:16.02 ID:ViHjQKQW0

 そんなこんなで終わった自己紹介。
 それによって生まれた和やかムードも、天気の確認の為に点けたテレビ、
 その朝のニュースで流れた言葉「今日はイヴですね、心なしか街行く皆さんも嬉しそうです」によって崩れ去った。

(  ゚ω゚)「……潰してやる」

('A`)「……若いねぇ、だが――」

('A゚)「全面的に同意しよう」

(´゚ω゚`)「クリスマス死ね」

(  ゚ω゚)「さぁ! 共にでかけよう友よ!」

('A゚)「皮肉にも憎むべき"能力"によって集った同士たちよ!」

(´゚ω゚`)「せめて抗おう! 例えそれが苦肉の策でも!」

(  ゚ω゚)「クリスマスなんか!」

( 'A゚)(  ゚ω゚)「「ぶっとばしてやる!」」(´゚ω゚` )

 再度の誓いの言葉を叫び、勢い良くブーン宅から飛び出した三人。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:30:35.35 ID:ViHjQKQW0
  _、_  
( ,_ノ` )y━・~「うるっせぇぞガキどもがぁ!」

(;^ω^)「ひぃ! ごめんなさいだおー!」

 先程の隣人に怒られた、だが三人は走る。
 目的地は街、目的はひとつ。
 六つの足が奏でる音は、昇りはじめた太陽の下を木霊した。




22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:30:54.26 ID:ViHjQKQW0

('A`)「で、街についたわけだが」

(´・ω・`)「うん、何すんの?」

( ^ω^)「とりあえずは、サンタの格好してる奴らをとっちめるお」

('A`)「それまずくね? 条例違反と法律違反の両方すんの?」

(´・ω・`)「いや、ブーンさんの"能力"を使えば、或いは」

( ^ω^)「だおね、朝は僕に任せろお。二人は朝飯でも食ってくるといいお」

('A`)「そうか? 失敗するんじゃねーぞ?」

( ^ω^)「アホかお、こんな初っ端からリタイアできるわけねーお」

(´・ω・`)「だよね、飯終わったら駅前に集合ってことで」

('A`)「おk。じゃあ行ってくるわ」

 そう言い、近くの店へ入って行った二人。


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:34:15.40 ID:ViHjQKQW0

( ^ω^)(朝は僕の担当だお)

 と、計画の反芻をしていたところ、サンタに扮した男にティッシュを渡された。

サン゚д゚タ_A「よろしゃーす」

(; ゚ω゚)(なんたる屈辱。先手を打たれたか)

 ならば、と思い、物影に隠れたブーン。
 そこで、"能力"を発動する。

( ^ω^)「――ッ!!」

 一瞬、ブーンの衣服に変化が現れ、定着する。
 それまで軽装だった服装は、重装備のサンタの服装に包まれる。

(サン^ω^)タ「ふぅ、この服にも慣れたもんだおね」

 感傷にふけるように一言呟き、思う。

(サン^ω^)タ(でも、それも明日の25日までだお。
        目的を達したら、二度とこの服も着ないだろうお。
        でも――)

 想いだけ、置いていこう。
 計画を進める上での初期段階で、足踏みする訳にはいかない。




26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:36:54.73 ID:ViHjQKQW0

サン゚д゚タ_A「よろしゃーす」

サン゚д゚タ_B「よろしゃっす、うぃすww」

サン゚д゚タ_C「メリクリーッすwww」

(サン ゚ω゚)タ(本当に、嘗めた奴らだおね)

 複数のサンタがティッシュ配りをしているこの場所、さぁ計画を始めよう。

(サン^ω^)タ「ちょいちょい」

サン゚д゚タ_A「なんすか? まだ交代の時間じゃないっすけど」

(サン^ω^)タ「それが早まったんだお、今日はもう上がってくれお」

サン゚д゚タ_A「マジッすか。ではでは」

 そう言うと、そそくさと去っていくサンタに扮した男。
 それを他のサンタにも繰り返した。



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:39:35.46 ID:ViHjQKQW0

サン゚д゚タ_B「いやいや、悪いっすよww 俺らも一緒に配りますからwww」

(サン;^ω^)タ「いや、こっちもプロだからね、任せてよ」

サン゚д゚タ_B「プロww そこまで言うならお疲れしたーwww」

 この服装のプロ、という点では嘘偽りが無いことに、内心苦笑するブーン。
 しかしすぐに気を取り直し、次のサンタへと向かう。

(サン^ω^)タ「今日はもう上がってくれお。あとは僕が引き継ぐお」

サン゚д゚タ_C「え、でも一人で配ることになりますよ?」

(サン^ω^)タ「サンタが複数居たらおかしいお?」

サン゚д゚タ_C「そっすね。じゃあメリクリッす」

(サン^ω^)タ「メリクリだおー」

 ティッシュ配りをしていたサンタたちは全員、小さいビルの中へ消えて行った。
 暫くすると、そのビルからサンタと同じ顔をした男たちが出てきて、駅の方面へ進んでいった。

(サン^ω^)タ(そう、これこそがクリスマスの正体。
        皆を騙し、喪男、毒男を苦しめるクリスマスの、真の姿。
        見ててくれお、全国の喪男、毒男たち。計画が成功すれば絶対に――)

 ――飯が旨くなるから。



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:42:08.86 ID:ViHjQKQW0

 サンタたちが置いていったクリスマスキャンペーン用の大量のティッシュを見る。
 数は膨大、場所は駅近くのビルの前、
 今は人の少ない通りだが、ラッシュ時はかなりの数の人波が生まれる。

(サン^ω^)タ(ならば)

 燃やしてしまおう、全てのティッシュを。
 カップルたちへの怨念をのせた、狼煙を上げようじゃないか。

 サンタの分厚い服装のポケットからライターを取り出すブーン。
 同じく取り出したライターオイルをティッシュにかけ、ライターで点火する。

(サン^ω^)タ(燃えろ、燃えろ、燃えてしまえ)

(サン ゚ω゚)タ(恋も愛も夢も希望も。ククク)

 メラメラという擬音がピッタリなくらいに燃え始めるティッシュ。
 全てを通りの真ん中に放置し、その場を離れる。

(サン^ω^)タ(成功だおね)

 燃え盛るティッシュは、小さな火の山を作り出し、通りを混乱の渦に巻き込んでいた。


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:46:49.92 ID:ViHjQKQW0

 それを物影から見ていたブーンに、背後からかけられる声。

( ^Д^)「おいてめー、何してんだよ死ね」

(サン;^ω^)タ「え?」

( ^Д^)「ティッシュだよ、ティッシュ。
      てめー俺んとこのバイトじゃねーだろ?」

 しまった、バレてしまっていたか。
 思うと同時、駆け出す。

(サン;^ω^)タ「はっ……はぁ……」

(#^Д^)「なめてるってレベルじゃねーぞ!」

 ブーンと、サンタのバイトの雇い主――プギャーとの追いかけっこが始まった。




32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:47:11.23 ID:ViHjQKQW0

 角を曲がり、路地裏へ入る。
 発展し始めた街とはいえ、まだまだ裏に入れば寂れたもので、逃げ周るには丁度いいものだった。

 角を曲がり、直線で加速し、また角を曲がる。
 先を走ることで主導権を得ていたブーンが徐々に距離を引き離していく。

(サン^ω^)タ「ぶんぶ――ん!」

(;^Д^)「くそったれ! 逃げんじゃねーよ!」




33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:49:27.96 ID:ViHjQKQW0

 そして、ブーンがプギャーから逃げる上での最後の曲がり角を曲がる。
 影に隠れると同時に"能力"を発動する。
 一瞬でサンタの衣装から私服へと戻るブーン。

( ^ω^)「ふぅ」

( ^Д^)「よし、捕まえたぜ!」

( ^ω^)「お? 誰だお、あんた」

( ^Д^)「げ、違ったか。この辺にサンタこなかったか?」

( ^ω^)「ああ、サンタならそこの角を曲がって行ったお」

( ^Д^)「ばっかもーん!」

( ^ω^)「……」

 叫び、ブーンの嘘に騙されるプギャー。
 小さくなっていき、角に消えたプギャーを見届けたブーンは呟く。

( ^ω^)9m「プギャー、だお。
        バイバイ、名も知らない男よ」




34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:52:01.63 ID:ViHjQKQW0

 場所は変わり、駅前。

('A`)「ったく、ひどい目にあったぜ」

(;´・ω・`)「ごめんってば、まさかあのタイミングで刃が出るとは……」

 二人が話をしているのは、朝食をとった店での出来事だ。
 運ばれてきた簡単な食事に舌鼓を打っていた時に発動したショボンの"能力"。
 指から出現した30センチ程の輝く刃は、皿を切断し、テーブルに傷を刻んだ。

('A`)「まったく、店を追い出されちまったじゃねーかよ」

(´・ω・`)「でもまぁタダ食いできたし、いいじゃん」

('A`;)「そういや金払ってないな」

(´・ω・`)「サンタからのクリスマスプレゼントかな?」

('A`)「バカ言うな、あいつがそんなことするわけねーだろ」

(´・ω・`)「まるで会ったことがあるようなセリフだね」

('A`)「へ、わかってるだろ、お前も」

(´・ω・`)「ああ、クリスマスは憎むべき存在だよ」


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:56:11.44 ID:ViHjQKQW0

 そこで聞こえてきた、足音と声。
 ブーンだ。

( ^ω^)「遅くなったお、すまんおー」

('A`)「おー、戻ってきたか」

(´・ω・`)「いやいや、凄かったよ」

('A`)「ああ、道行くカップルたちの慌てようったらな」

( ^ω^)「それは何よりだお」

('A`)「で、次の計画は?」

( ^ω^)「ちゃんと把握しとけって言ったお?」

(´・ω・`)「うん。でもサプライズがあった方が楽しいじゃん」

( ^ω^)「お前もかお」

 はぁ、とブーンがため息を吐くが、頼りにされている、ということで悪い気分はしなかった。




38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:56:31.17 ID:ViHjQKQW0

( ^ω^)「次の計画は夕方からだお」

(´・ω・`)「え? まだ7時過ぎだよ?」

('A`)「切り上げんのは早くねーか?」

( ^ω^)「バカ言うなお、さっきのは肩慣らしだお」

 そうだ、さっきの一件はドクオとショボンの二人に、この計画が何たるかを理解させるためのもの。
 それだけでさえ、この発展途上の小さい街に与えた衝撃は大きかったはずだ。
 ならば、

( ^ω^)「場所を移すお」

('A`)「移すって、どこにだよ」

( ^ω^)「この国の首都――東京へだお」




39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/23(火) 23:59:17.35 ID:ViHjQKQW0

 東京。
 地方暮らしが続いていた三人の鼓動が高鳴った。

(´・ω・`)「それはすごい、早速移動しよう」

( ^ω^)「ああ、人数分の新幹線のチケットも用意してあるお」

('A`)「都会に出て、もっと大勢のカップルをぎゃふんと言わせてやろうぜ!」

( ^ω^)「「おう!」」(´・ω・` )

 そうして三人は駅のホームへと消えて行った。




40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:01:35.34 ID:rmr3NDxd0

 東京上空の大空。
 そこには、ソリとトナカイが浮かんでおり、そしてソリに乗るサンタクロースがいた。

サン゚ー゚タ_「ふむ、"能力"を持つ者が集まり始めたようだね」

(トナ゚ー゚)カイ「最も強い"能力"を持つ者も動き始めましたしね」

サン゚ー゚タ_「力を使い果たしたこの身体で果たして退けられるかどうか」

(トナ゚ー゚)カイ「弱気なことを言わないで下さい、それに最強の"能力"者ならまだしも、
        ここに向かってきている者の"能力"など知れたものですし、何より戦う意思も彼らにはないです」

サン゚ー゚タ_「それでも、最強は向かってくるぞ?」

(トナ゚ー゚)カイ「きっとなんとかなります、だって貴方は――」

 ――夢と希望と幸せを生み出せる、本物のサンタクロースなのだから。




41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:03:57.06 ID:rmr3NDxd0

('A`)「ふへぇー東京ってすげーな」

 見渡す限りの建物。
 地方では周囲を見れば必ず山が見えたものだが、東京では平地しか見えない。
 夕日に染まる都会がもたらす強烈な印象に、三人は見惚れていた。

(´・ω・`)「すごい人の数、それに店も多いし」

( ^ω^)「こんなにいっぱいあったら、どこ行けばいいかわからないお」

(´・ω・`)「何時間もかけてきた甲斐があったって感じだね」

('A`)「ま、今の俺らには関係ないな」

(´・ω・`)「うん、計画を進めようよ」

( ^ω^)「次は……あそこで風船配ってるサンタをとっちめるお」

('A`)「あれ? さっきと同じじゃね?」

( ^ω^)「大都市東京でやるからこそ意義があるんだお」

('A`)「そんなもんかね」


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:07:25.04 ID:rmr3NDxd0

(´・ω・`)「じゃあその役目は僕に任せてよ」

( ^ω^)「お?」

('A`)「おいおい大丈夫かよ」

(´・ω・`)「まぁ見てて」

 と言い、ショボンは右手を天にかざした。

(´・ω・`)「――ッ!」

 ショボンの"能力"である、光の刃。
 それが右手の指先から、指の数だけ出現した。

('A`)「うわ、でやがった」

( ^ω^)「ホントに光ってるおね」


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:09:21.62 ID:rmr3NDxd0

(´・ω・`)「これを……あの風船に!」

 振り下ろした右手。
 放たれた5本の刃は、ヒという音を残しながら、飛行する。

 それが遠く離れた風船に触れたと同時、
 響く、短い破裂音。

サン;゚д゚タ_D「え? なんだ?」

(*;ー;)「うわああ! 風船われちゃったー!」

(;゚Д゚)「泣くなよ……しぃ」

 驚くサンタと、泣き出す女性、戸惑う男性。

 反対に、上がる歓声。

('A`)「おお! すげぇ」

( ^ω^)「おっおっ、もっとやったれ!」

(´・ω・`)「ふふふ」


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:11:54.39 ID:rmr3NDxd0

 次は左手で、同じ動作をする。

サン゚д゚タ_E「ッ!?」

サン;゚д゚タ_D「またかよ!」

 もうひとりのサンタが持つ風船が、全て割れた。

(;´∀`)「うわわわ! なんだモナ!?」

从#゚∀从「慌てんなよボケ!」

( ´∀`)「え……」

从;゚∀从「え、あ」

( ´∀`)「なんてがさつな……」

 それによって、近くにいたカップルの雰囲気が悪くなる。



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:12:12.84 ID:rmr3NDxd0

( ^ω^)「くっくっ、全くもって面白い」

(  ゚ω゚)「ざまぁみろ!」

('A゚)「思い知れ! 我らの痛みを!」

(´゚ω゚`)「こんなものはまだまだ序の口!」

(  ゚ω゚)「真に恐ろしいのは、これからだ!」

(  ゚ω゚)( 'A゚)「フヒヒヒ」(´゚ω゚` )


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:15:02.65 ID:rmr3NDxd0

( ゚∀゚)「はーい、そこまでだお前ら」

( ^ω^)「む、何奴」

( ゚∀゚)「ああ、俺はジョルジュ――」

 突然現れた男は、胸ポケットに手を突っ込み、一冊の手帳を取り出す。

( ゚∀゚)「――警察だ」

('A`;)「な!?」

(;´・ω・`)「僕たちが何したっていうんだ!」

 三人は思う、風船を割った行為は完璧な犯行だったはずだ、と。

( ゚∀゚)「とぼけんなよカス。
     刃渡りは約30センチってところか?」

(;^ω^)「な、なんの話だお!」

  ジョルジュの表情が、鬼の様な形相に変わる。


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:17:54.06 ID:rmr3NDxd0


  _
(#゚∀゚)「てめぇらの投げた刃物だよ!」



('A`)( ^ω^)((あ、そっちか))(´・ω・`)
  _
(#゚∀゚)「こんな街中で刃物を投げまわってる男たち、重罪だぜ?」

(;^ω^)「これはちょっとまずいかもわからんね」
  _
(#゚∀゚)「こちらジョルジュ、渋谷駅前にて刃物を持つ男たちを発見、至急応援を!」

( ゚∋゚)『む、了解した! おい皆、仕事だぞ!』

(#ФωФ)<#ヽ`∀´>『おおおお!!』(-_-#)(゚ω゚#=)

 ジョルジュの持つ通信機から聞こえてくる、雄叫び。
  _
(#゚∀゚)「イヴもクリスマスも駆り出される警官の怒り、嘗めんじゃねーぞコラァ!」

('A`;)「ひぃぃ」

(;´・ω・`)「に、逃げるよドクオさん!」

 三人は駆け出した。




55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:21:42.52 ID:rmr3NDxd0

('A`;)「おいブーン、なんとかしろ!」

(;^ω^)「なんとかって言われても、さっきみたいな小細工は通用しないお」

 続々と終結していく警官たちに追われる三人。
 大通りなのもあり、距離は縮まっていく。

(;´・ω・`)「そうだ、ドクオさんの"能力"を使えば!」

('A`;)「え? あ、忘れてた」

 もっと早くから使えば楽だったな、とドクオは思い、

('A`)「――ッ」

 "能力"を発動した。
 地面を滑るチカラ、その真髄とは――

('A`)「――スケートだ!」

(;^ω^)「お?」

(;´・ω・`)「うわ」

 ドクオに抱えられたブーン、背負われたショボン。
 三人を支える2本の足は、コンクリートの地面を文字通り滑っていく。
 速度は高速、進路をふさぐ人波を軽快に避けて行く。




56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:25:19.85 ID:rmr3NDxd0

( ^ω^)「すっげぇ速いお」

(´・ω・`)「それになんか、慣れてない?」

('A`)「まぁなぁ、ずっとこの"能力"に悩まされてきたけど、使い道はあったからな」

( ^ω^)「うらやましいお、僕のサンタの衣装になる"能力"なんかネタでも使えないお」

(´・ω・`)「あ、でも僕の光の刃も包丁代わりにしたことあったかな」

(;^ω^)「うう、不公平だお」

('A`)「……お、もう逃げ切ったみたいだな」

 頭だけで背後を見たドクオは、ブーンとショボンを降ろした。




57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:25:35.97 ID:rmr3NDxd0

( ^ω^)「ふぃー、すごかったお」

(´・ω・`)「でもちょっと疲れちゃったよ」

('A`)「だな、そういや昼飯食ってなくね?」

( ^ω^)「じゃあそこのレストランでも入るお」

('A`)「おk」

 そんなこんなで入店した三人。




58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:29:17.24 ID:rmr3NDxd0

( ^ω^)「おおぅ、すごいおしゃれだお」

('A`)「さすがは都会って感じだな」

(´・ω・`)「順番は……あ、1組待ちか、すぐだね」

 腰掛けたソファーのようなイスは、とても柔らかいものだった。
 心地良さの中、ふと隣を見たショボンは――

(´゚ω゚`)「――ッ!?」

 ――戦慄した。

(´゚ω゚`)「ドクオさん」

('A`)「んあーなんだぁ?」

(;'A゚)「――ッ!」

 ドクオの額に脂汗が浮かぶ。


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:30:16.92 ID:rmr3NDxd0

('A゚)「おいブーン」

( ^ω^)「ん?」

 ドクオが指差す先、ブーンの視線が捕らえたものは、

川 -彡  ミ「「……ん」」

(; ゚ω゚)(キス……だと?)

 口づけ、接吻、キス。
 レストランという不特定多数が集まる場での奇行に、三人は恐怖する。

川 ///)「ふふ……」

ミ*゚Д゚彡「へへ……」

(;'A゚)(なぜだ、なぜこの場で)

(´゚ω゚`)(どういうことだ……いやしかし)

(  ゚ω゚)(くそ、結局は顔だというのか……クリスマス効果、恐るべし)

 それぞれの思いを抱え、しかし飲み込もうとする。
 だが、抑えられない男がいた。


66 : ◆080mxUe5zE :2008/12/24(水) 00:38:26.71 ID:yadZAIk4O
(´゚ω゚`)「ちくしょおおおお! 潰してやるぅうううう!」

ミ;゚Д゚彡「!?」

川;゚ -゚)「え?」

(;'A`)「わ、バカやめろ!」

(;・∀・)「どうされましたか、お客様」

(;^ω^)「ごめんなさいだお、こいつちょっと精神が不安定なもので」

(;・∀・)「そ、そうですか……」

ミ;゚Д゚彡「……出ようぜ」

川;゚ -゚)「そ、そうだな」

(´゚ω゚`)「わーわー!」

(;'A`)「うわー! 光の刃を向けんな!」


67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:38:52.48 ID:yadZAIk4O
(;^ω^)「ほっといたら収まりますんで、お構いなく」

(;・∀・)「もう少しだけお静かにお願いします」

(;^ω^)「申し訳ないですお」

 ふと、時計を見たブーン。
 時刻は、午後6時になろうとしていた。
――――――――――――――――――――――


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:41:46.97 ID:yadZAIk4O

 同時刻。
 ブーンたちがいる渋谷区より東に位置する地区。
 そこに無数にあるビルの内のひとつの屋上で、一匹と一人と、二人が対峙していた。

(´<_` )「なんだ、サンタか」

サン゚ー゚タ_「なんだとはなんだ、夢と希望と幸せのサンタクロースだぞ?」

( ´_ゝ`)「……」

(´<_` )「言っとくが、今の俺らには絶対敵わないからな?」

(トナ゚ー゚)カイ「そんなこと、わからないじゃない!」

サン゚ー゚タ_「トナカイ、お前はさがってなさい」

(トナ゚ー゚)カイ「……はい」

(´<_` )「ふふ、そんなに俺らにビビッてんなら、手出しはやめとけよ」


72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:45:08.37 ID:yadZAIk4O
サン゚ー゚タ_「そんな兄を手に入れて、幸せか?」

( ´_ゝ`)「……」

(´<_` )「ッ!? どういう意味だよ」

サン゚ー゚タ_「そのままさ、何も言わず、語らない男を……」

( ´_ゝ`)「流石だよな、俺ら」

 それまで無言だった男が言った、抑揚の無い、機械的な声で。

サン゚ー゚タ_「……」

(´<_` )「ふん、兄者が兄者であるのに、これ以上の言葉は無いさ」

サン゚ー゚タ_「そういえば、その言葉だけは話せるようにしていたね」

(´<_` )「兄者を失った俺の心を傷を癒す、最高の"プレゼント"だったよ、この"能力"は」

サン゚ー゚タ_「そいつはどうも」

 だが、とサンタは言う。

サン゚ー゚タ_「その"能力"を悪用しているのは、見逃すわけにはいかないね、弟者君?」


74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:47:52.29 ID:yadZAIk4O
(´<_` )「悪用だって?」

 僕はただ――

(´<_` )「――クリスマスっていう幻想に踊らされている人たちに気づかせてやってるだけじゃないか」

 言うと同時、全く動きを見せていなかった兄者が、サンタに向けて走り出す。

サン゚ー゚タ_「やれやれ、結局こうなるのか」

 と言い、サンタは両手から光る刃を出す。
 ショボンの光の刃より長いそれで、突撃してくる兄者を受け止めた。

サン゚ー゚タ_「……ッ!」

( ´_ゝ`)「……」

 低い衝撃音が屋上に響き、茜色の空に抜けていく。
 身を接しあった二人は、力が拮抗したかの様に押し合う。

(トナ;゚ー゚)カイ「さ、サンタさん!」


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:49:08.04 ID:yadZAIk4O

サン;゚ー゚タ_「くっ、結構きついね」

(´<_` )「ふふ、俺たちには敵わないって――」

( ´_ゝ`)「……」

サン;゚ー゚タ_「ぐあっ!」

(´<_` )「――言っただろ?」

 兄者が腕を突き出した。
 押され、吹き飛ぶサンタの身体。
 それは数秒宙を舞ったあと、屋上から外れ、数十メートル下の地面へと降下していった。


79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:52:30.15 ID:yadZAIk4O
(´<_` )「他愛の無い、どれ、そっちのトナカイにもやってやれ」

( ´_ゝ`)「……」

(トナ; ー )カイ「――ッ!?」

 兄者に殴られ、サンタと同様に、トナカイも降下していった。

 一匹と一人がいなくなったことで、屋上にいるのは兄者と弟者だけになった。

(´<_` )「ふん」

 と、鼻を鳴らし、兄者と同時に口を開く。

( ´_ゝ`)「「流石だよな、俺ら」」(´<_` )


82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:56:54.55 ID:yadZAIk4O

( ^ω^)「で、どうすんだお?」

('A`)「ああ、この状況をどうしてくれるんだよ」

(´・ω・`)「いや、このレストランに入ろうって言ったのブーンさんじゃん」

( ^ω^)「思てたんと違う……」

('A`)「イヴの夕方だぜ?
    なら予想できただろ、こんな状況」

 レストランの待ち時間での騒動を切り抜けたブーンたち、しかし別の問題が発生していた。

( ゚д゚ )「……」

川д川「こっち……みんな」

( ><)「おいしいですか? ちんぽっぽちゃん!」

(*'ω' *)「ちんぽっぽ!」

( ^ω^)「こうもカップルだらけだとやってられんね」


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 00:59:33.76 ID:yadZAIk4O

(´・ω・`)「何この隔絶感、男三人でレストランとかバカじゃん」

('A`)「せっかくの飯も不味くなるぜ」

( ^ω^)「だが、これも計画の一環と考えようか」

(´・ω・`)「興味深い。続けて?」

( ^ω^)「そもそも僕たちの計画は、"クリスマスをぶっこわせ!"だったおね?」

('A`)「だな、"能力"によってぼっちにされた俺たちの逆襲ってわけだ」

(´・ω・`)「うん、ドクオさんは他にも原因がありそうだけどね」

('A`)「どういう意味だよ」

(´・ω・`)「そのまま」

( ^ω^)「とにかく! 計画の本旨としては、
      "幸せに包まれるカップルを不幸にして、僕たちの飯を旨くしよう"ってのがあるわけだお」

('A`)「ああ、だが今すっげぇ不味いけどな」

( ^ω^)「そこだお、このまま指を咥え続けるのは計画の本旨に反するお」

(´・ω・`)「だからって、この状況で何が出来る?」

('A`)「さっきみたいに警察沙汰になるのは勘弁だぜ?」


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:00:52.05 ID:yadZAIk4O

( ^ω^)「ふっふっ、頭を使いたまえよキミタチ。あそこにピアノがあるお?」

 ブーンが指差した先、そこには誰も弾いていない黒塗りのピアノがあった。

(´・ω・`)「ああ、あるね」

('A`)「それで不協和音でも奏でようってのか?」

( ^ω^)「そんなことをしたらただの迷惑行為にしかならないお」

(´・ω・`)「うん、もうひとつの憎むべき存在のDQNと同じになっちゃうね」

( ^ω^)「だからこそ、奏でるべきは失恋ソング、もしくはそれに準ずる悲しい曲だお」

(´・ω・`)「!」

('A`)「で、それを誰が弾くんだよ……」

(;^ω^)「そ、それは……」


92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:04:30.27 ID:yadZAIk4O

(´・ω・`)「僕が弾こう」

('A`)「大丈夫かよ」

(´・ω・`)「任せてよってね」

 そう言い残し、ピアノへと向かうショボン。
 ピアノに似合った黒塗りの椅子に腰を掛け、鍵盤に指を落とす。

(´-ω-`)「??♪」

 奏でた曲は、ドナドナ。
 ラ音から始まるそのメロディーは、レストラン全体の雰囲気を暗くする。

('A`;)「ちょ、すごいなあいつ」

( ^ω^)「ここまでやってくれるとは……」


93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:05:10.81 ID:yadZAIk4O

(´-ω-`)「??♪」

( ゚д゚ )「なんだなんだ?」

川д川「いい雰囲気ね」

(;゚д゚)「いや、どういう感性してるんだ」

川д川「この良さがわからないの……? 悲しい人ね」

(;゚д゚)「ちょっと待……行ってしまった」

('A゚)「ククク」


98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:09:36.69 ID:yadZAIk4O
(´-ω-`)「??♪」

(;><)「怖いんです! 怖いんですちんぽっぽちゃん!」

(#*'ω' *)「ぽっぽ!」

(;><)「待ってぇー! うう、ちんぽっぽちゃんがどこ行ったかわかんないです!」

(  ゚ω゚)「ふふふ」

(*´-ω-`)「??♪_♪*√」

 弾き終えたショボンは、最後に鍵盤に大きく両手の5指を振り下ろす。
 レストラン全体に響く、大音量の不協和音。

( ^ω^)「違和感なくやってのけやがったお」

('A`)「ドナドナ弾いてる時点で違和感全開だけどな」

(´・ω・`)「ふぃー、どうだった? 僕の演奏」

( ^ω^)b「最高にクールだったお」

('A`)「ああ、全方向から強烈な怒りの視線を感じるがな」

 レストラン内の全ての店員と客の視線が、ショボンに集まっていた。
 そしてその視線がブーンとドクオに移ったことで、全員の怒りが爆発していた。


100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:11:53.08 ID:yadZAIk4O
\(#^o^)/「っざけんなよオワタァ!」

(#><)「死にやがれファッキュー!」

(#゚д゚)「とりあえず死ね」

(;^ω^)「おぉぅ」

('A`;)「と、とりあえず逃げよっか」

(´・ω・`)「何してんの二人とも、早く来なよ!」

 一足先に出口まで行っていたショボンが叫ぶ。
 それに触発された客たちが、襲い掛かってくる。

\(#^o^)/(#><)「「らああああ!!」」(゚д゚#)

('A`;)「あ、てめショボン待ちやがれ!」

(;^ω^)「ちょ、こいつら容赦ねーお!」


101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:14:41.37 ID:yadZAIk4O
 日が暮れた時間帯の、イヴの東京。
 道行く人は、カップルの他にも、プレゼントを探し奮闘中の父親や、子連れでプレゼントを買いにきた親子がいた。
 そんな父親や親子が目指すのは、おもちゃ屋さん。

(´<_` )「ふん、次はここを潰すか」

 と言い、自身の"能力"である兄者に命令を下す弟者。

(´<_` )「兄者、次はこの店を潰せ、中の人もできる限り巻き添えにしてな」

( ´_ゝ`)「……」

 命令に、無言で答える兄者。
 店のショーウィンドウを突き破り、中のおもちゃを破壊し、親子にも被害を与える。
 しばらくの間店の中からは悲鳴が響いたが、やがて収まる。

( ´_ゝ`)「……」

 無言で店から出てきた兄者を見て、弟者は快感を覚える。

(´<_` )(この破壊欲を満たしながらも兄者との一体感を得る感覚、忘れられんな)


104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:16:39.89 ID:yadZAIk4O

 そして兄者はひとりでに呟く。

( ´_ゝ`)「流石だよな、俺ら」

(´<_` )(こんな機械みたいな声でも、兄者の声色とそっくりだからやめられん)

(´<_` )「ああ、流石だよな、俺ら」

 満足した弟者は、兄者を連れ、場を離れていった。


106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:20:18.93 ID:yadZAIk4O

('A`)「くっそ、ひどい目に会ったぜ」

( ^ω^)「全くだお、ドクオの"能力"がなかったら今頃どうなってたことやら」

(´・ω・`)「いや僕のせいじゃないよね? やれって言ったの、ブーンさんとドクオさんじゃん」

 ドクオの"能力"によって場を離れた三人は、行く当ても無くとりあえず歩き回っていた。

( ^ω^)「ふむ、それにしても計画が狂いすぎて修正できないレベルにまでなっちまったお」

('A`)「まぁ、いいんじゃね? 適当にやってりゃ」

(´・ω・`)「そうそう、現に結構な数のカップルを不幸にさせたしね」

( ^ω^)「そうだおね、一応の目標は達したって感じで、燃え尽きちゃったお」


108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:23:27.01 ID:yadZAIk4O
('A`)「なんだ? あれ」

 立ち止まるドクオ。それに習い、ブーンとショボンも立ち止まる。
 その視線は、店の前に集まる野次馬に向けられ、聴力は専ら救急車のサイレンに向けられていた。

('A`)「なんか事故でもあったんかね」

(´・ω・`)「てかあそこ、おもちゃ屋だよね」

('A`)「かわいそうに、夢見る子供はクリスマスを堪能すればいいだけなのにな」

( ^ω^)「だお、憎むべきはカップルを幸せにするクリスマスだお」

(´・ω・`)「ちょっと聞いてみようかな……すいません」

 と言い、近くにいた老人にショボンは話しかける。

/ ,' 3「おお、ここであった事件のことじゃな?」

(´・ω・`)「事件……なんですか?」

/ ,' 3「そうとも、クリスマスの日に起こった凶悪な事件じゃよ」

( ^ω^)(今日はイヴだけどね)


113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:28:22.22 ID:yadZAIk4O

/ ,' 3「なんでも強盗が入ったみたいでな。
    商品であるおもちゃを壊した挙句、親子連れの客にまで危害を加えたらしいの。
    ほれ! 出てきおったぞ!」

 老人は興奮しながら叫んだ。
 野次馬の先に見えたのは――

(;、;メトソン「痛いよぉ、痛いよぉ」

 ――額から血を流す傷ついた少女だった。
 担架に乗せて運ばれる彼女の胸元には、バラバラになってしまった人形が抱かれていた。

( ^ω^)「……」

('A`)「……」

(´・ω・`)「……」


115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:29:44.20 ID:yadZAIk4O

/ ,' 3「ああ、なんて惨いことを……」

( ^ω^)「……許せないですお」

/ ,' 3「ああ、そうじゃろう」

('A`)「……イヴに子供を泣かせるなんて、人間じゃねぇ」

/ ,' 3「ああ、そうじゃ」

(´・ω・`)「……結果だけを見てるしかできないなんて、悔しいよ」

/ ,' 3「ならば問おう、何故諦めるのかを」


117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:32:49.11 ID:yadZAIk4O

( ^ω^)「諦めてなんかないですお」

('A`)「ああ、あんなことまでする強盗なんか、目の前にいたとしても手出しできないな」

/ ,' 3「ならば突き抜けろ、自分が決め付けた偽りの限界を」

(´・ω・`)「偽りの限界……」

/ ,' 3「そうじゃ、自ら行動せずして正義を語ろうなどと、我侭が過ぎるわ」

(;'A`)「! あんた……もしかして」

( ^ω^)「サンタ……クロース?」


118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:33:14.92 ID:yadZAIk4O

(´・ω・`)「……僕たちに"能力"を与えた人……」

/ ,' 3「ほぅ、何故そう思う?」

(;'A`)「いや、だってその達観した口調は……」

/ ,' 3「……」

( ^ω^)「まるで全てを見透かしたかのような態度……」

/ ,' 3「……よかろう、合格じゃ」

(´・ω・`)「合格?」

/ ,' 3「ああ、力を与えよう。
    私は力を使い切ってしまって、こんな姿になった。
    だが君達に分けられるだけの力全てを託そう」


120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:37:18.38 ID:yadZAIk4O
( ^ω^)「一体、何があったんですかお?」

/ ,' 3「何、ちょっと反抗的な子供にプレゼントをあげてしまっただけじゃよ」

('A`)「それよりあんた、俺たちに何か言うことはねーのかよ」

/ ,' 3「言うこと、とは?」

('A`)「とぼけんなよ、こんな"能力"をくれやがって、どんだけ苦しんだと思ってるんだよ」

/ ,' 3「ああ、それはすまなかった。
    なにぶん未熟なサンタなもんでな、君達の願いを叶えたら、そうなってしもうた」

('A`)「願いだと?」

/ ,' 3「ああ」

(;^ω^)「お?」


123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:42:46.91 ID:yadZAIk4O
 サンタはブーンと視線を合わせながら言う。

/ ,' 3「ブーン君はサンタが来ないから、"自分がサンタになれるように"という願い」

 次に、ドクオに。

/ ,' 3「ドクオ君はスケートが買って貰えないから、"自分の足がスケートのようになりますように"という願い」


125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:43:54.34 ID:yadZAIk4O
 最後に、ショボンに。

(;´・ω・`)「……」

/ ,' 3「ショボン君は、いじめがあったからか、"いじめっ子に反撃できるように"という願い」

(;^ω^)「なっ!?」

(;'A`)「ショボン、お前……」


130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:51:55.53 ID:yadZAIk4O

(´ ω `)「……」

/ ,' 3「わしも迷った、果たして叶えてよい願いなのか、と。
    じゃが、あまりにも酷すぎたいじめじゃったから、自衛のために、と思って叶えたのじゃ」

(´ ω `)「……」

 サンタはショボンの肩に手を乗せ、続ける。

/ ,' 3「何、恥じることも、自分を責めることもない。
    優しい君は、結局いじめっ子にその願いを使うこともなかった。
    何よりそのいじめにも、正面から打ち勝ったんじゃ、自分の力のみでな」

 その言葉を聞いたショボンの瞼から、涙が溢れる。

(´;ω;`)「……ありがとうございます……」

( ^ω^)「……」

 ブーンは思う、クリスマスも悪くないと。
 少なくとも、サンタクロースは悪い人ではないと。


133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:56:29.34 ID:yadZAIk4O
/ ,' 3「君達に力を与えよう。
    聖夜に悪意を持ってことを成す者を倒すための力を。
    正義の名のもとに、願わくば全ての者に笑顔が、幸せが訪れんことを願って」

 サンタがそう言い終えると、身体が地を離れ、天へと昇っていく。

(;'A`)「お、おい! どこいくんだよ!」

/ ,' 3「全てが終わったとき、また会おう」

 サンタの身体は、空中で光の粒子へと変わる。
 降り注ぐ光に包まれる三人。

( ^ω^)「お?」

('A`)「なんだ?」

(´・ω・`)「……あったかい……」

 胸が、熱くなる。
 様々な感情が巡るが、わかる。

( ^ω^)「これは負の感情なんかじゃないお」


134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 01:57:06.04 ID:yadZAIk4O

('A`)「すげぇ込み上げてくる、これが勇気っていうのかな」

(´・ω・`)「犯人のことも大体わかったね、場所もそんなに遠くない」

 さぁ、行こう。
 イヴの日に不幸をもたらす悪を滅す為に。

( ^ω^)「――ッ!」

('A`)「――ッ!」

 ブーンとドクオが能力を発動する。
 ブーンは単身、ドクオはショボンを担ぎ、飛び上がった。

(サン^ω^)タ「すっごいお! サンタの衣装になった途端力が湧き出てくるようだお!」

('A`)「俺も、空を滑ってるみてーだ」

 ブーンは地を蹴ることで、ドクオは空を滑ることで、空中を飛ぶ。
 目指す先は、弟者のもと。


136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:00:48.38 ID:yadZAIk4O
 不運な事故で兄を失い、"強かった兄が生き返りますように"という願いを抱いていた男のもとへ。
 歪んだ願いがもたらした結果は、不幸なものであった、

(サン^ω^)タ「だからこそ」

('A`)「ああ、止めてみせる、絶対に」

 思考を共有しているかのように言葉を合わせる二人。

(´・ω・`)「なんか、悪いね。僕だけお荷物みたいで」

(サン^ω^)タ「バカ言ってんじゃねーお、ショボン」

('A`)「そうだよ、いくら俺たちが強くなったっていったって、
    弟者って奴の力にはまだ敵わないからな、お前の力が最後の切り札になる」

(´・ω・`)「そう……だね……」

(サン^ω^)タ「だお」

 空を舞う三人に、訪れた沈黙。


138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:03:17.17 ID:yadZAIk4O
 それを破ったのは、ショボン。

(´・ω・`)「ねぇ、僕のこと、軽蔑した?」

(サン^ω^)タ「……」

('A`)「……」

(´・ω・`)「サンタさんに願ったのが、人を傷つける力なんて……」

(サン^ω^)タ「ふふ」

('A`)「はは」

 二人は小さく笑い声を漏らす。

(´・ω・`)「やっぱり、そうだよね……」

(サン^ω^)タ「それこそ、バカ言うな、だお」

('A`)「ああ、ホントにバカだ。そんなことで俺らが軽蔑するわけねーだろ」

(´・ω・`)「……え」


141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:07:25.81 ID:yadZAIk4O
(サン^ω^)タ「僕たちはそれぞれが願ったお」

('A`)「別々の願いを願って、別々の力を手に入れた」

(サン^ω^)タ「その力が障壁になって、独りぼっちになりかけたときに、僕たちは出会ったお」

('A`)「それぞれの道を歩んだ俺たちは、願いで出会えた」

(サン^ω^)タ「だからってわけじゃない、でも軽蔑なんか、間違ってもしないお」

(´;ω;`)「うっ……皆……」

 夜空を駆ける三人。
 夜空に響く嗚咽、寒空を照らす月が、少し力無さげに見えた。


141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:07:25.81 ID:yadZAIk4O
(サン^ω^)タ「僕たちはそれぞれが願ったお」

('A`)「別々の願いを願って、別々の力を手に入れた」

(サン^ω^)タ「その力が障壁になって、独りぼっちになりかけたときに、僕たちは出会ったお」

('A`)「それぞれの道を歩んだ俺たちは、願いで出会えた」

(サン^ω^)タ「だからってわけじゃない、でも軽蔑なんか、間違ってもしないお」

(´;ω;`)「うっ……皆……」

 夜空を駆ける三人。
 夜空に響く嗚咽、寒空を照らす月が、少し力無さげに見えた。


142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:10:17.62 ID:yadZAIk4O
(メ;゚∀゚)「グッ……なんて強さだ……こいつ……」

(メ;゚∋゚)「我が警官隊を総動員して、この様とは」

 先程のおもちゃ屋から東に離れた場所。
 そこで警察と弟者が交戦していた。

( ´_ゝ`)「……」

(´<_` )「いい、兄者、全員潰してやれ」

(;ФωФ)「くっ、こいつには銃弾も効かんのか!?」

( ´_ゝ`)「……」

 遇直に発砲し続ける警官に、兄者の拳が襲いかかる。

(  ω )「ぐわああああ!」

(メ;゚∀゚)「ロマネスクッ!」

(メ;゚∋゚)「全滅……か、たった一人の男に」

(´<_` )「ふん、もう飽きたな、全員殺してやれ」

( ´_ゝ`)「……」

 決して弟者の命令には逆らわない人形である、兄者が動く。
 一歩一歩を踏みしめ、ジョルジュの前に立った。


146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:12:15.89 ID:yadZAIk4O
(メ゚∀゚)「俺は、逃げねぇ……最期まで警官であってやる」

(メ゚∋゚)「奇遇だな、俺も同意見だ」

(´<_` )「ふん、つまらんな、もっと喚き散らしてくれたら面白いのに」

(メ゚∀゚)「生憎、クリスマスに職務放棄するほど警官として腐ってないもんでね」

(´<_` )「そうかい……なら、死ね」

( ´_ゝ`)「……」

 兄者の拳が振り下ろされた。
 狙う先はジョルジュの頭、手加減など一切しない兄者の拳は、
 人間の頭蓋を容易く砕く程の威力を持っていた。

 その拳を――

(サン^ω^)タ「――ッ!!」

 ――二人の間に割って入ったブーンが、とめた。


148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:15:46.49 ID:yadZAIk4O
(´<_` )「なんだ貴様?」

 同時に、降り立つドクオとショボン。

('A`)「……てめぇ」

(´・ω・`)「なんてひどいことを……」

 眼前に広がるのは、倒れた人間たち。
 うめき声をあげている者もいれば、気を失っているのか倒れたままの者もいる。

(´<_` )「揃いも揃って妙な連中だ、貴様らもサンタに願いを叶えられたクチか?
      それも、わざわざ殺されにくるとはな」

( ´_ゝ`)「……」

(サン;^ω^)タ「――ッ!?」

 兄者の拳を受け切れなかったブーンが、地面に叩きつけられた。
 すぐに体勢を立て直し、距離をとるブーン。


149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:16:21.63 ID:yadZAIk4O

(サンメ^ω^)タ「なんて力だお、こいつ……」

('A`)「ああ、ちょっとやべぇな」

(´・ω・`)「でも、やるしかないっしょ」

(サン^ω^)タ「だおね!」

 ブーンの叫びを合図に、三人は三方向へ向かう。
 ブーンは兄者の正面へ、ドクオは空を滑りながら兄者の右方へ、ショボンは左方へと駆ける。


152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:19:48.57 ID:yadZAIk4O
(´<_` )「何か考えてきたようだが、無駄だろうな」

( ´_ゝ`)「……」

 最初に兄者とぶつかったのはブーン。
 正面から放った右ストレートを、兄者の顔面にお見舞いした。

(サン^ω^)タ(決まったお?)

 自分の強化された力が、あまりにも綺麗に入ったので、ブーンに隙が生まれた。

(´<_` )「ふふ、油断するなよ」

( ´_ゝ`)「……」

 顔色ひとつ変えない兄者は、お返しにと左ストレートを放つ。

(サン ω )タ「がッ!」

 吹き飛ぶ身体、消え行く意識の中で、思う。

(サン ω )タ(役目は、果たしたお)


157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:22:00.44 ID:yadZAIk4O
('A`)「もらったぁ!」

(´<_` )「何!?」

 空を翔る、ドクオ。
 その両手に持つのは、警官から拝借した拳銃。
 短い発砲音を連続し、小さな鉄製の弾丸が兄者に直撃する。

( ´_ゝ`)「……」

(´<_` )「驚かせやがって、その程度じゃ兄者は怯まんぞ?」

('A`)「うるせぇー!」

 弟者の言葉を遮りながら叫び、発砲する。
 何度も、何度も、思いを込めた弾丸を連射する。

(´<_` )(もっとも、それが俺を狙っていたのなら、話は別だったのにな
      愚かな奴らだ、何も考えちゃいないのか)

('A`)「うおおおお!」

(´<_` )「うるさいハエだ、兄者、さっさと潰せ」

( ´_ゝ`)「……」

 兄者が走る、空中を舞い、距離を置きながら発砲を続けるドクオへと。


159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:24:15.05 ID:yadZAIk4O
(;'A`)「くそ! こっちくんなああああ!」

(´<_` )「ふふふ、いいぞもっとやれ、泣き喚けよ」

( ´_ゝ`)「……」

 空を滑り続けていたドクオだったが、兄者に脚力により、やがて追いつかれた。
 地を蹴ることで、飛び上がる兄者。

( ´_ゝ`)「……」

( A )「うあっ!」

 兄者に一殴りされたドクオは、地面に叩きつけられた。
 だがブーンと同様に、消え行く意識の中、思う。

( A )(驚いた、ここまで計画通りとは)


160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:25:40.28 ID:yadZAIk4O
(´<_` )「! なんだ?」

 兄者が地面へと降り立つであろう場所。
 そこで待ち構える男、

(#´・ω・`)「うおおおお!!」

 ショボン。

 両手に握る、2本の身の丈ほどの大剣。
 光り輝くそれは、ふたつの軌跡を残しながら、触れる物全てを両断した。

( ´_ゝ`)「……」

(´<_`;)「なんだと!?」

 斜めに2つの斬られた兄者の身体は、4分割され、地面へと落ちた。

(´・ω・`)「よし!」

 ショボンは勝利を確信した。
 しかし、


169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:40:38.56 ID:yadZAIk4O
(´<_` )「ふん」

 笑わせるなよ、と言い、命令を下す。

(´<_` )「おい兄者、そんなんでへばってんじゃねーぞ!」

( ´_ゝ`)「……」

 兄者の身体が、4分割された肉骸が、ひとつになり、起き上がった。

(;´・ω・`)「な、なんで……」

( ´_ゝ`)「流石だよな、俺ら」

(´<_` )「ああ、流石だよな、俺ら」

 吹き飛ぶ、ショボンの身体。
 壁に叩きつけられるまで弾き飛ばされ、両手の大剣は消滅した。

(´<_` )「まったく、無駄なことを」


172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:41:09.54 ID:yadZAIk4O
(メメ´_ゝ`)「……!」

 そのとき、兄者の鼻から、血が流れた。

(´<_` )「な、血だと!? こんなことは一度も……」

 それどころか、全身から出血をし、特にショボンによってつけられた傷は、
 繋がりこそしたものの、傷口が閉じることはなく、おびただしい量の血が流れていた。


175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:45:07.82 ID:yadZAIk4O
(メメ^ω^)「それが、お前が願った力だお?」

(´<_`;)「くっまだ起き上がる体力があったのか!?」

(メメ'A`)「"強かった兄が生き返りますように"だったよな、そりゃそうだろうな」

(メメ´・ω・`)「だって君が人形か何かと勘違いしていたのは……君のお兄さんの身体なんだから」

(´<_`;)「何!?」

 願ったのは、生き返るように、という願い。
 つまり今出血をしながらも弟者の命令を待ち続けているのは、兄者という人間だった身体そのもの。

(メメ^ω^)「本当に未熟なサンタだおね」

(メメ'A`)「ああ、恨みたくなるほどにな」

(メメ´・ω・`)「でも、過ちは犯したけど、悪には染まっていない」

(メメ^ω^)「その点、お前はなんだお?
       せっかく生き返った兄を好き放題に使い、挙句に再起不能の身体にした」

(メメ'A`)「ここまでのお前の行い、立派な悪役ぶりだな」

(´<_`;)「グッ、兄者! やれ! こいつらを倒すんだ!」

(メメ;´・ω・`)「な!?」


178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:48:03.92 ID:yadZAIk4O
(メメメ´_ゝ`)「……」

(´<_` )「そうだ! 俺たちは絶対に負けはしない! 最強なんだ!」

 ブーンの眼前で振り上げられる、兄者の右腕。

(メメ;'A`)「ばっ、ブーン逃げろ!」

(メメ^ω^)「……」

 その腕を、ブーンの両腕が、とめた。

(´<_`;)「なんだと!?」

(メメ'A`)「もう力も使えないのに、とめた……」

(メメ;ω;)「もう、やめてくれお……」

 ブーンは、涙を流す。
 ところどころが赤に染まった地面に、円形の黒ができる。
 同時に、兄者の力が弱まっていく。

(´<_`;)「な、なにしてる兄者! 潰せよ! さっさと潰せよ!」

(メメ;ω;)「弟者ッ!! この人を見ろお!!」

 完全に力を無くした兄者を抱えたブーンが、兄者を振り向かせる。


181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:52:19.72 ID:yadZAIk4O
(メメメ;_ゝ;)「……」

(´<_`;)「――ッ!?」

(メメ´・ω・`)「泣いてる……」

(メメ;ω;)「もう、誰も悲しませるなお。
       皆が笑って過ごすクリスマスを、台無しにするなお!」

(´<_`;)「皆が……笑って……だと!?
      兄者が死んだとき、もう何年も前のイヴのことだよ!
      俺は悲しんださ、でも誰も助けちゃくれなかった!
      笑顔になんかなれなかったんだよ!
      そんなとき……唯一助けてくれたのが……兄者……だったんだ……」

 力無く経垂れ込む弟者。
 同時に、兄者の身体が光に包まれて消えて行く。


183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 02:54:52.03 ID:yadZAIk4O
(メメ゚∀゚)「助けが欲しいならな、誰かに言えばよかったじゃねーかよ」

 言うのは、警官。

(メメ゚∋゚)「ああ、信頼するべきは死した者ではなく、今を生きる生の者だ」

 言うのは、同じく警官。

(メメ'A`)「誰だって辛いときはある、誰だって幸せでいたいんだ」

 言うのは、学生時代を独りぼっちで過ごした男。

(メメ´・ω・`)「その為にも、皆の笑顔を大切にしたいって気持ち、わかるでしょ?」

 言うのは、過去のいじめに屈しかけたが、それでも足掻いた少年。

(メメ^ω^)「だからこそ、クリスマスだけは笑顔を守らなきゃならないお」

 言うのは、"能力"を持つ者をまとめあげた、青年。


205 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 03:26:45.11 ID:yadZAIk4O
サン゚ー゚タ_「さぁ、私の願いにすがり、悪魔に魅入られた男よ、罪の清算のときです」

 言うのは、"能力"分の力を取り返したことで、若々しさを取り戻した、サンタクロース。

(メ゚∋゚)「諦めろ、もう逃げ場はないからな」

( <_  )「……」

 弟者は、俯いたまま手錠をかけられ、そして警官に連れられて行く。

サン゚ー゚タ_「待ちなさい、弟者」

( <_  )「……」

サン゚ー゚タ_「貴方が犯した罪は、確かに重いです。
      一時とはいえ、悪に染まってしまったのですから。
      しかし、兄者さんの身体に残った僅かな意思が、言っていました。
      『ありがとう』、と」

( <_  )「……!」

サン゚ー゚タ_「その真意は、私には解りかねますが、双子の兄弟である貴方になら、わかるでしょう?」

(;<_; )「あぁ……」

 消え入るような声で返事をした弟者は、白と黒のストライプの車に乗せられて行った。


207 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 03:27:39.04 ID:yadZAIk4O
サン゚ー゚タ_「さて、貴方たち」

(;^ω^)「おっ!? ブーンたちですかお」

('A`;)「いつの間にか傷が治ってやがるぜ……」

(´・ω・`)「うわーホントだ、でも今はどうでもいいや」

サン゚ー゚タ_「貴方たちに与えた力、確かに実を結んだようですね。
      ただ、その力を返却して頂いたので、貴方たちの願いをひとつ叶えてあげましょう」

('A`;)「いつ返したんだよ……」

サン゚ー゚タ_「ついさっきです」

(´・ω・`)「んー、願いねぇ……」

( ^ω^)「んー?」

('A`)「んー?」

 三人は、顔を見合わせ、笑った。

( ^ω^)「決まったお」

サン゚ー゚タ_「よろしい、ならば言いなさい叶えて差し上げます」

( ^ω^)「東京中、いや、日本中に僕たちの声を届けて欲しいお」

サン゚ー゚タ_「お安い御用です」


208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 03:28:12.38 ID:yadZAIk4O
 ブーンたちの周りが、光に包まれる。
 全国の人間の生活風景が、全天上に浮かぶ。

('A`)「すっげぇ……」

サン゚ー゚タ_「はい、全国へと言葉を送りなさい」

 ごほん、と咳払いをしたショボンが、一歩前に出た。

(´・ω・`)「……」

(´゚ω゚`) クワッ

サン゚д゚タ_「!?」

(´゚ω゚`)「全国のカップルども! よく聞けや!
      てめぇら明日のクリスマス、笑顔で過ごせると思うなよぉ!
      ぜってぇ俺たちがとっちめてやる! 笑顔を刈り取ってやるよぉ!!
      カップルは全員死ねッ!!」

サン;゚ー゚タ_「なん……」

ξ゚?゚)ξナニ!? イマノ! ムカツク!
(*;ー;) ウエーン!!
(;゚Д゚) オイ! シィナクナヨ

 全天からあがる驚きの声と、驚く人々の姿。


210 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 03:29:04.85 ID:yadZAIk4O

('A゚) クワッ

(゚A゚) クワワッ

(゚A゚)「ひゃひゃひゃ!!
    いつもはクールな俺もキレちまったぜ!!
    クリスマスは去年も一昨年もやったよねぇ!?
    もうそろそろ廃止でいいんじゃねーのか!?
    カップル全員死ねッ!!」

サン゚д゚タ_「呆れた……」

从 ゚∀从 ンダトコラアアア!!
(;´∀`) ヒィィィィ! ガサツッ!!
<ヽ`∀´> ニダニダ!! ジャポンハコレダカラ


211 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 03:30:14.21 ID:yadZAIk4O

(  ゚ω゚)「俺たちが日本を救ったヒーローだ!! そして俺がその主役のブーン様だ!!
      あがめろ愚民がッ!! そして悲しみの顔でクリスマスを迎えろッ!!
      とりあえずカップルは全員死ねッ!!
      この中で子供、喪男、毒男がいたら歓喜しなさい、明日はメシウマ状態だからな!!
      何度も言うがカップルは全員死ねッ!!」

(-_-) ヒャッホー!!
( ^Д^) タマンネッスブーンサン!!
川 ゚ -゚) ナンダナンダ?

 全員が言い終えたと同時、全天を包む光が消える。
 辺りは再び夜の暗さに戻った。

サン゚ー゚タ_「まったく、素直なのかそうでないのか、わかりゃしないですね」

サン゚ー゚タ_(恋愛がしたいなどという願いでなかった辺りが好ましい人たちだけど)


212 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 03:31:16.48 ID:yadZAIk4O



( ゚∀゚)「ところでねぇ、キミタチ、なんか忘れてないかな?」



( ^ω^)「お? さっきの警官さん?」

('A`)「まさかぁ、俺たち日本を救ったヒーローっすよ?」

(´・ω・`)「お縄につくなんて、そんなこと……」

( ゚∀゚)「俺、さっき言ったよね?
     "クリスマスに職務放棄するほど警官として腐ってないもんでね"
     ってさ」

( ^ω^)「……で?」

( ゚∀゚)「銃刀法違反、迷惑条例違反、それとなんか色々暴れたらしいから余罪もいっぱいだな。
     そこの男も警察の拳銃を無断で発砲したしな」

(;'A`)「いやあれは……」


215 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 03:34:13.99 ID:yadZAIk4O
  _
(#゚∀゚)(#ФωФ)<#ヽ`∀´>「「イヴもクリスマスも駆り出される警官の怒り、とくとご覧あれ」」(-_-#)(゚ω゚#=)

( ^ω^)('A`)「「もうだめぽ」」(´・ω・`)

サン゚ー゚タ_「ふふ……」

 今年も、クリスマスが始まる。
 来年も、クリスマスが待っている。

サン゚ー゚タ_「今年もまだまだ忙しくなる」

  願わくば、クリスマスが幾千のときを渡る想いの架け橋にならんことを。


219 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 03:36:57.67 ID:yadZAIk4O



( ^ω^)('A`)(´・ω・`)クリスマスなんかぶっとばしてやる!のようです



    T H E  E N D




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  1. 2008/12/24(水) 03:41:33|
  2. ブーン系小説(短編)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<川 ゚ -゚) クーが魔弾を見たようです | ホーム | ( ^ω^)がパソコンで学ぶようです。>>

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